ピックアップパーソナリティー

第10回 林原めぐみさん

今も昔も一ミリも変わらずラジオは楽しい!

声優としてデビューした時から、ラジオがやりたくてやりたくて仕方なくて、あちこちに言いまくってましたね。だから番組開始から一ミリも変わらずラジオは楽しい!だって、55歳の大人がちょっと意気地なしだったり、12歳が立派だったり・・・年齢問わず、それぞれの生きてきたバックボーンとか、そのいろんな表情や生活の切り取りを見せてもらえる仕事ってないですよ。しかも正直に見せてくれる。時にはちょっと格好つけたりすると思うけどね!でも、わりと素直に8割9割がた正直にぶつけてきてもらえる場所って、なかなか無い。

「楽しい」と「楽」

ラジオパーソナリティに限らず、どんな仕事でも言えることだと思うんですけど、楽しいから「楽」であって、楽をしようとすると、とたんに辛いことになるんだと思うんですよね。だって「楽をしよう、楽をしよう」ってことは、手を抜こうとするわけで。手を抜こうという考えは、今が辛いから手を抜こうとするわけでしょ?だってラジオの仕事は辛くないもん。だから楽しいから手を抜かないし!楽しいから楽!むしろ、楽だから楽しいではない。楽だけじゃつまんない!そういう意味でもこのラジオ番組が30分から1時間の放送になった時は嬉しかったですね!

ラジオ現場は「サロン」

この番組は構成作家がいないんです。だから台本も番組の基本的な流れが書いてある紙1枚。話す内容も決まっていないし、メールやお便りもぜんぶ自分で読みます。決められた台本に沿って進行して、選んでもらったお便りだけを読むっていうラジオのスタイルは「仕事」って感じで、今のラジオは仕事なんだけど、その感覚がない。サロンみたいな感じかな。1週間の出来事を報告し合う場所みたいなね。

忘れられない放送

これからも何度も言い続けるから、耳にタコかもしれないけど・・・阪神・淡路大震災後に経験したプレハブの仮設スタジオからの生放送ですね!震災直後、いつも通りの放送をしたら、聴いてる人からのお便りがバッシングと感謝に真っ二つに分かれて。感謝のハガキはすべて神戸の方からで、「ニュースばかりの放送の中、日常がほんの少しでも戻ってきて、テーマ曲を聴いて初めて泣けた」って。バッシングは神戸以外の土地の人だった。「もっとニュースを流すべきだ!」って。でもそれは神戸を心配するあまりなんですよね。でも現場に立たないと本当の事ってわからない。ものごとを一辺倒に見ては駄目なんだなぁって。バッシングをただ聞きたくないから排除ではなく、受け入れる。そして相手より大きな言葉を生み出して投げかけることを覚えましたね。だから、目に飛び込む景色は辛かったけど、晴れて神戸から放送できた時は、ここまで来れて良かったと本当に思いました。

神戸からもらったモノ

だから1200回まで続けさせてくれている、ただ楽しいだけじゃない、うっすらとした責任をもらいましたね。どんなことが起こっても今、聴けている状況にある人に話そうと・・・。そしてリスナーからもらった大事な言葉があって。「偽善も集まれば善になる」。どんな偽善でもいいからくださいって言われて。被災地に毛布や義援金を送ることへの迷いを持っている人たちへ、ラジオでよびかける事へのてらいもなくなりました。何を言われても良いから、とにかくやれることをやろうよと。おかげでパーソナリティとして、揺らぎながらも言葉に責任を持てるようになりました。

アシスタント保志総一朗

番組のアシスタントを15年くらい担当してくれているほし君(声優・保志総一朗)は、言動すべてに予想がたたない!急に思い出し笑いしたり、「すみませんまとまらなくて」と一生懸命話したり、収録中にあくびしたり・・・えいこうちゃん(お笑い芸人の狩野英孝さん)みたいだって言ってて。そんなほし君に翻弄される自分も面白いんだよね!あとこんなに長くアシスタントが続いている理由として、活字にすると誤解が生まれるかもだけど、私たちはいわゆる「仲良しこよし」じゃないんです。私にとっては、このラジオ現場にいる彼が全部で、ココを離れてまでの交流はほぼないの。ただこの番組を好きであることだけは二人とも同じだと思ってます。

情報過多の今、林原なぜラジオか?

ツイッターやFacebook、SNSとか、23年前はそんな発信するツールが無かったから必然的にラジオになったわけだけど、情報ツールが沢山あることの価値が今一つ、分かってないみたい。大切な側面は理解はしてるけど。本当に欲しい情報は、目をつぶってても入ってくると信じてるし、情報を発信する側が情報に翻弄されてはいけないとも思ってるんです。
情報の発信の仕方で言うと、自覚を持たずに発信すると、いらぬ落とし穴に「落ちる」ではなく、「引き寄せられる」と思うんですよね。例えばツイッターに夢中になるあまり、勝手に寂しくなったり、勝手に辛くなったり、依存してしまったり・・・。
そういう情報ツールや情報そのものが、生まれた時からあふれている世代にも、ラジオを通して届くところを模索中です。ラジオでもなんでも、集う場所に本当はみんなどこか、信頼が欲しいんじゃないかなぁ〜。でも、家族や友達みたいに関係性が近すぎると、照れ隠しで本心と逆の言葉を言っちゃったりするんだけど、適度な距離があって、毎週そこにいるラジオがそうであったらうれしいな。信頼はふっと出来るもんじゃなくて築くものだからね。時間もいるよね。

林原、駄菓子屋のおばあちゃんに!?

これからのラジオと私、う〜ん(※初めての長考)悩んでますかね〜迷ってる!コミュニケーションツールとしてのラジオが、今後どこまで力があるのか?って。生まれた時からデジタル世代のリスナーに、アナログなラジオは必要なのか?これからも番組を続けながら考えるんだと思う。堂々とラジオが存在するためには、どういう形が良いのかなぁ〜って。
デジタルな世界になった今、この番組は妙に生々しいと思うんです。その生々しいところがうっとうしいと感じる世代が増えていく中で、ラジオに住むおせっかいな駄菓子屋のおばあちゃんでありたい!「こういうの好きでしょ?」「ほんとは好きでしょ?聴いていきなさいよ」って、「ラムネ冷えてるよ?」みたいな感覚で…。

『林原めぐみのHeartful Station』この先1500回、2000回・・・その時、林原さんはどんな言葉で語ってくれるのか?ラジオから届く声に耳を傾けてみよう。
プロフィール
林原めぐみ
林原めぐみ

東京都出身。3月30日生まれ。O型。
高校卒業後、看護学校に通いながら声優を志す。'86年にテレビアニメ「めぞん一刻」の幼稚園児役で声優デビュー。以降、数多くのアニメキャラクターを演じつづけている。また、DJ、歌手、作詞、エッセイ執筆など、幅広く活躍中。
1991年10月からラジオ関西『林原めぐみのHeartful Station』(土23:00〜24:00)のパーソナリティを務める。