《JR福知山線脱線事故17年》「つらくて苦しい、でも忘れられない」事故現場“祈りの杜” 3年ぶり追悼慰霊式開催

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 乗客106人が死亡、562人が負傷したJR福知山線脱線事故から25日、17年を迎えた。
 新型コロナウイルス感染拡大のため中止されていたJR西日本主催の追悼慰霊式は3年ぶりに、慰霊施設「祈りの杜 福知山線列車事故現場」(尼崎市久々知)で開催される。新型コロナウイルスへの感染防止に留意したうえでの開催となる。2020,、21年は訪問を希望する遺族や負傷者に施設を開放していた。

慰霊施設「祈りの杜 福知山線列車事故現場」
快速電車が衝突したマンションの一部(写真中央)を残し、大屋根で覆う形で2018年秋に整備が完了した

 「祈りの杜」は2018年秋に整備が完了し、2019年の慰霊式は、それまでの「尼崎市総合文化センター・あましんアルカイックホール」から場所を移して行われたが、遺族や負傷者にとって、この場所への思いはさまざま。「慰霊式は事故現場で開くのが本来のあり方だ」「『なぜ、この場所で命を落とさねばならなかったのか』と亡き娘が問いかけてくる。それが再発防止への誓いだ」との意見もあれば、「この場所に亡くなった人はいない。それぞれの心の中で生きている」と考える人もいる。「1人の被害者として、慰霊式でほかの被害者と会い、ともに『生きて行こう』という気持ちを新たにしたい」、「本当は一番行きたくない、つらい場所だが、私の人生を変えた一番忘れられない場所だ」と思いを語る負傷者もいる。

「祈りの杜」3年ぶり慰霊式開催 コロナ感染防止対策を徹底、遺族・負傷者の参列者を限定する<※画像提供・JR西日本>

 25日は午前9時50分に開式、全員で黙とうを捧げ、斉藤鉄夫・国土交通大臣による「追悼のことば」(中山展宏・副大臣による代読)に続き、JR西日本・長谷川一明社長が「お詫びと追悼のことば」を述べる。そして遺族や負傷者、来賓、JR西日本役員が献花する。遺族や負傷者による「慰霊のことば」は予定されていない。

 JR西日本は、今年の開催について、感染対策を施したうえで、式典会場「祈りの杜」への参列者を遺族や負傷者に限定した。また希望者には別会場や遺族宅でも見られるようオンライン中継も行う。

遺族や負傷者による「慰霊のことば」は予定されていない<※画像提供・JR西日本>
「一番つらい、でも忘れられない場所」と思いを語る負傷者も

 事故の風化が懸念される中、JR西日本は昨年(2021年)、大阪府吹田市の社員研修センターに整備する新施設での事故車両や、事故現場に残されていた遺留品約1100点についての保存方針を遺族や負傷者に伝えた。損傷が激しく復元が困難な1~4両目は部品に裁断し、原形をとどめている5~7両目はそのまま保存するという。新施設は2024年の完成を目指しているが、内部を一般公開するかどうかについては検討課題としている。
 1985(昭和60)年の日航ジャンボ機墜落事故では、羽田空港の安全啓発センターで機体の残骸や部品などを公開するまで21年の歳月を費やした。

「生」の花畑(写真手前)と「祈りの杜」(右奥) 左上は昨年(2021年)で役割を終えた「命」の花畑
事故現場手前のカーブで上り列車は減速、ゆっくりと通過して尼崎駅へ向かう(右手に「祈りの杜」)
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