電動車椅子サッカーを6年かけて描いた映画『蹴る』 中村監督が思いを語る | ラジトピ ラジオ関西トピックス

電動車椅子サッカーを6年かけて描いた映画『蹴る』 中村監督が思いを語る

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©「蹴る」製作委員会
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 重度の障害を抱えながら、電動車椅子サッカーW杯出場にすべてをかける選手たちを6年におよび撮影した長編ドキュメンタリー映画『蹴る』。その監督を務めた中村和彦氏が、30日、ラジオ関西『時間です!林編集長』(月曜~木曜 15:00-17:50)にゲストで生出演し、撮影のエピソードや映画への思いなどを語った。映画『蹴る』は6月1日から大阪の第七藝術劇場で公開される。

長編ドキュメンタリー映画『蹴る』の監督を務めた中村和彦氏(写真中央 写真:ラジオ関西)
長編ドキュメンタリー映画『蹴る』の監督を務めた中村和彦氏(写真中央 写真:ラジオ関西)

 障害者サッカーは、切断障がい、脳性麻痺、精神障がい、知的障がい、資格障がい、聴覚障がい、そして、電動車椅子の、7つの競技が行われている。電動車椅子サッカーとは「手動の車椅子を使えない重度の方なので、当然蹴ることはできない。電動車いすの前に鉄製のバンパーをつけて、そのバンパーで蹴るサッカー」。選手たちは、「(電動車椅子を)体の一部(にしている)というか、人馬一体というか、すごい繊細な動きで、正確なボールを蹴ったり、シュートしたりできる」。

 以前には、知的障がい者サッカーの映画『プライド in ブルー』(2007)や、聴覚障がい者(ろう者)サッカーの映画『アイ・コンタクト~もう1つのなでしこジャパン~』(2010)などを描いた中村監督だが、電動車椅子サッカーについては「そこまで詳しくは知らなかった」という。

©「蹴る」製作委員会
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 だがしかし、「あるとき、映画で中心に描いた女性にもなる永岡真理さんの試合をたまたま見る機会があって、彼女に心ひかれた」ことが、映画『蹴る』制作のきっかけになったそうだ。「電動車椅子サッカーは男女混合でやるものですが、(出会ったときの思いは)『もうひとりのなでしこジャパンがいた!』という感じ。ちょうど、なでしこジャパンが世界一になる前の日だったんです。だから、余計に強烈な出会いとなり、そこから『撮りたい』ということで、実際に映画を撮ることになりました。それが8年前でした」。

 映画のなかでは、サッカーに懸ける姿のみならず、介護を受けたり、選手たちの恋愛模様など、電動車椅子で生活する日常の様子も、克明に描かれている。ただし、その撮影を行うのは、大変だったという。「最初の段階で何年か撮影して、信頼関係ができたあと(に映画の撮影が始まった)というか。自分の場合は体の構造とかいろいろ知るために介護の資格とかをとって、介護の仕事も経験したりして、そういうことで信頼をしてもらった」。映画は、元々4年で完成させる予定が、予想外に伸び、6年の歳月を費やして完成に至った。

©「蹴る」製作委員会
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「ボールを蹴るときの、電動車椅子サッカーの(ぶつかり合う)音の迫力や速さなどもかなり衝撃的で、ずっと画面に見入ってしまって、見終わったあとには放心状態になるほど。試合にかける苦悩や強い思いなどを含めて、本当にたくさんのことを考えさせられた」と、『時間です!林編集長』の津田明日香アナウンサーも語るような、魅力あふれるドキュメンタリー映画『蹴る』。「最初は何にもわからないところから始まったし、わからないからこそ、自分がわかったことを追体験してもらえると思うんです。自分自身も、サッカーという入り口から入ったので、先入観を持たずに見ていただきたい」という中村監督は「そのなかで、彼ら彼女ら(選手たち)の思いは感じてほしいなと。そんなに肩ひじ張らずに見ていただければ、飽きずに見ていただけるんじゃないかなと思います」と呼び掛けていた。

 長編ドキュメンタリー映画『蹴る』は、6月1日から14日まで、大阪・十三の第七藝術劇場で公開される。1日(土)と2日(日)には、中村監督の舞台挨拶なども行われる。

手話で「アイラブユー」を表しながら写真におさまる中村和彦監督(写真右から2番目)と、『時間です!林編集長』コメンテーターの松本創さん(写真左)、津田明日香アナウンサー(写真左から2番目)、林真一郎アナウンサー(写真右)(写真:ラジオ関西)
手話で「アイラブユー」を表しながら写真におさまる中村和彦監督(写真右から2番目)と、『時間です!林編集長』コメンテーターの松本創さん(写真左)、津田明日香アナウンサー(写真左から2番目)、林真一郎アナウンサー(写真右)(写真:ラジオ関西)

電動車椅子サッカードキュメンタリー『蹴る』

出演:永岡真理、東武範、北沢洋平、吉沢祐輔、竹田敦史、三上勇輝、有田正行、飯島洸洋、内橋翠、内海恭平、塩入新也、北澤豪(日本障がい者サッカー連盟会長)

監督:中村和彦(『プライドinブルー』、『アイ・コンタクト』、『MARCH』)
プロデューサー:中村和彦、森内康博
撮影:堺斗志文、中村和彦、森内康博
録音:藤口諒太 整音:鈴木昭彦
音楽:森内清敬 宣伝デザイン:インコグラフィカ 松本力

後援:(公財)日本サッカー協会、(公財)日本障がい者スポーツ協会、(一社)日本障がい者サッカー連盟、(一社)日本電動車椅子サッカー協会、(特非)日本ブラインドサッカー協会、(一社)横浜市医師会、(一社)日本筋ジストロフィー協会、(一社)全国肢体不自由児者父母の会連合会、SMA家族の会

製作:『蹴る』製作委員会(中村和彦+らくだスタジオ)
配給:『蹴る』製作委員会+ヨコハマ・フットボール映画祭
助成:文化庁文化芸術振興費補助金
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