東日本大震災での東京電力・福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷の罪で強制起訴された東電の旧経営トップ3人に対し、東京地裁はきょう19日、いずれも無罪を言い渡した。
巨大な津波による原発事故が招いた被害について、東電の経営陣に刑事責任を問えるのかが注目され、公判はきょう19日の判決まで2年3か月にわたり、38回開かれた。
この裁判では、まず巨大な津波を具体的に予測できた点と、対策を講じていれば被害は避けられた点が認定されれば、業務上過失致死傷の罪が成立する。
しかし、東京地裁の判決は「津波について、あらゆる可能性を想定し、必要な措置を義務づければ、原発の運転はおよそ不可能になる。運転を停止すれば、地域社会に一定の影響を与えることも考慮すべきだ」と指摘し、3人を罪に問うのは難しいと判断した。
ラジオ関西の取材に対し、この裁判を支援する原発告訴団で事務局長をつとめる地脇美和さんは、「完全な不当判決であり、膨大な証拠がありながら、なぜ無罪なのか絶対に許せない」と憤り、控訴する意向を示した。
国家が個人に刑罰を科す以上、有罪の立証には厳密さが求められるが、判決は従来の司法判断を踏襲し、無罪との結論を出した。(ラジオ関西ニュース)