2万人のランナーが秋空の下を駆け抜けた神戸マラソン。9回目のスターター役を務めた兵庫県の井戸敏三知事は、ステージの上である感慨に浸ったという。
神戸マラソンならではのスタート前セレモニーがある。阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震などの犠牲者に黙とうをささげ、震災から生まれた鎮魂の歌「しあわせ運べるように」を合唱、続いて全てのランナーが黄色い手袋をした両手を空に掲げる。
「2万人のランナーが咲かせる感謝と友情の花です。両手を空に掲げるとフラワーロード一帯には4万もの『黄色い花』が咲く。本当に壮観です。まさに神戸マラソンの花になりましたね」
競技の方は男女ともに大会記録を更新。「有森裕子さんによると、靴の性能がかなり向上し、有力選手はそれを使用していたらしい。折り返し地点の舞子あたりでは、風が穏やかだったことも一因だったようです」と振り返った。
ポートアイランドへ渡る神戸大橋の坂で記録が出にくいとされている、神戸マラソン。「記録を目指すには課題だが、一方で六甲山を見渡せるあの坂が神戸らしいというランナーの声もある」。競技としてのマラソンか、それとも市民マラソンか。コースの見直しについては思案が続く。