『らんま1/2』や『うる星やつら』といったマンガ家・高橋留美子さん原作によるアニメについて投票する「全るーみっくアニメ大投票」の結果が、NHK・BSプレミアムの特別番組『発表!全るーみっくアニメ大投票』で16日に発表された。「作品」、「キャラクター」、「エピソード」、「歌」の各カテゴリーのランキングが発表されるごとにSNS上では思い出の作品・キャラクターをなつかしむ投稿が飛び交った。
そのなかで、この生放送の裏で放送されていたラジオ番組『青春ラジメニア』(ラジオ関西)では、奇しくも『うる星やつら』で主要キャストを演じた声優の古川登志夫(諸星あたる役)と神谷明(面堂終太郎役)がゲスト出演。『うる星やつら』の思い出を振り返っており、こちらもツイッターで話題となった。
大御所声優の古川と神谷が思い出の収録現場を振り返ったインタビューは、以下の通り。
岩崎 『うる星やつら』というと、僕も語ったら止まらないくらい思い出があります。お二人は面堂終太郎と諸星あたるで、ライバル関係の役柄でした。当時のスタジオの様子はいかがでしたか。
古川 とにかく演技巧者ばっかりだったので、自分がすごく下手だと思っていました。神谷ちゃんもそうだけど、永井一郎さんとか、すごい方ばっかりで、いつも自分だけが新人の気分でやってましたね。
神谷 いま聞いて驚いたんだけど、同じような気持ちで僕もやっていました。自分がうまいという気持ちには全然なれなくて……。
古川 えっ、そうなの?
神谷 例えば「登志夫ちゃんの軽い演技はどうすればできるんだろう」って思ってました。
古川 周りのキャストが、自分にないものを持っている人ばかりでしたね。千葉ちゃん(千葉繁さん、メガネ役)のテンションなんかもね。
南 千葉さんもそう思っていらっしゃったかもしれませんね。
古川 千葉ちゃんも怖かったです……。本番で何やるかわかんないから(笑)。
神谷 (千葉ちゃんは)テストのときと違うことを言ったり、興奮して台本の文字が読めなくなって、思いついたことを言うこととかあるんですよ。ひとつだけ覚えているのは、何かのシーンで男子生徒が教室になだれ込むんだけど、女生徒が全員気絶していて、それを発見したメガネが、「見ろ! 女子は全員気絶している!」っていうせりふだったんです。それをどう間違えたのかわからないけども(※ここから古川が大きく思い出し笑い)。
古川 (思い出し笑い)ははは。
神谷 「女子は全員……、見ての通りだ!」って(笑)。もうスタジオ中が大爆笑で(笑)。
古川 それで録音が中止になっちゃった。ラム役の平野文さんが大笑いしちゃってね。
神谷 千葉ちゃんは、その後、二度とやってくれなかった。本番では「気絶している」って言ってたね。そういうアドリブが僕らのひそかな楽しみでしたね。
古川 千葉ちゃんにね、「リハーサルと同じこと言ってくれたら我慢できるから(面白かったあれ言ってよ)」と言っても、絶対やらないんです。絶対違うことを考えて、本番はもっと面白いことをやるんですよ。それがつらくてつらくて(笑)。
神谷 逆に言うと、「くるぞ」っていう気持ちでいないと不意を突かれるんです。僕らは台本を読んできているから、せりふに詰まることはない……と思うんですけど、(千葉ちゃんのように不意を突かれて)精神的にくると読めなくなる(笑)。
古川 ディレクターも止めないですからね、面白いから。OKになっちゃう。
岩崎 お互いに刺激し合う現場だったんでしょうね。
古川 緊張というか……、怖かったというかね。
岩崎 ぜひお邪魔したかった。
神谷 絶対楽しかったと思います。作品も面白いんですけども、スタジオだけでも作品として楽しんでもらえるぐらいの、バラエティの現場でした。
古川 テンションが高かったね、みんな。「おはようございます」って入ってくる時から、「よしやるぞ」って思ってないとついていけなかった。
南 いまなら作品のDVDにおまけとしてついているでしょうね
神谷 いわゆるNGシーンはうちらの場合みんな消しちゃうから、残っていないんです。だから思い出の中だけにあるNGシーンなんですよね。