神戸・長田の靴づくりの技術と京都の西陣織・京友禅をコラボレーションした革靴が誕生した。
国際的に活動する着物デザイナーの冨田伸明さん(ラジオ関西の番組コメンテーターも担当)が手がけた。
ローファーなどレディースの靴として、各サイズ1足ずつあわせて13足が制作され、10月に高島屋京都店でお披露目された。同店では、ものづくりをテーマとしたオリジナル企画として「NIPPONものがたり」を開催していて、冨田さんに知恵を借り、コラボが実現したものだ。
西陣織はサクラとキクの花柄で、靴の甲にあたる部分に組み込んでいる。靴は、夜になると発光する『蓄光糸』が使われていて、試しにブラックライトを当てると模様が浮かび上がるように見える。また京友禅は、伊勢神宮の式年遷宮で奉納された品だ。
冨田さんは京都在住の着物デザイナー・スタイリストで、着物文化の担い手として、欧米やアジア各地で開催される政府イベントへしばしば招聘されている。「サラリーマン時代に神戸の町をすみずみまで歩いた。お世話になった地域に恩返しをしたい」と語り、長田の靴とのコラボを着想した。
製品は京都発祥のブランドとして「CATCH BALL」シリーズを展開する吉村剛さんが、長田の靴製造業・赤崎次郎さんと試作を重ね、出来上がった。
赤崎さんは三代続く靴メーカーで技術には自信があるが、西陣織に使われる糸はやわらかくてほつれやすいため、特殊な糊を使って生地を貼り合わせるなど苦労したという。
完成した靴は10月、高島屋京都店の「NIPPONものがたり」会場で1万9800円(1足、税込み)で実際に販売された。冨田さんは、「長田の靴といつかコラボしたいと思っていた。“本物”のメイド・インジャパンをつくり出す職人技に注目してほしい」と話している。(SJ)