あの名作日本文学を原案に、まったく新しいアニメ作品が製作された。それも、ダークなSFというのだから驚きだ。その劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』が、11月29日からTOHOシネマズ西宮OS、 TOHOシネマズ伊丹など全国公開されている。
「人間失格」とはご想像の通り、太宰治のあの「人間失格」のこと。それがなんとアニメになった。それだけでも結構ビックリするが、映画のストーリーを聞くとさらに驚愕するはずだ。
昭和111年――医療革命により死を克服し、環境に配慮しない経済活動と19時間労働政策の末、GDP世界1位、年金支給額1億円を実現した無病長寿大国・日本、東京。大気汚染と貧困の広がる地域で薬物に溺れ怠惰な暮らしをおくる“大庭葉藏”(おおば・ようぞう)は、ある日、暴走集団とともに特権階級が住まう地域へ殴り込み、激しい闘争に巻き込まれる。
そこで “ロスト体”と呼ばれるモンスターに遭遇した葉藏(ようぞう)は、不思議な力を持った女性“柊美子”(ひいらぎ・よしこ)に命を救われ、自分もまた人とは違う力を持つことを知る。
昭和の文豪が書いた小説が原案とは思えないくらい、サイバーパンクというか、近未来SFというか……。
声の出演は、宮野真守、花澤香菜、櫻井孝宏、福山潤、そして、小山力也や沢城みゆきといった、実績抜群な人気声優陣が勢ぞろい。監督は木﨑文智が担当する。なお主題歌「HUMAN LOST feat. J. Balvin 」を歌うのはm-floだ。
YouTubeで予告編はもちろん、映画の冒頭7分間が公開されている。これらを見てみると原案の小説とはまったく違う作品だとすぐに分かるだろう。この劇場アニメでは、頽廃的な太宰の作品のどのような部分が、どのようにしてSFアニメに引き継がれていったのか、という部分に注目したい。
劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』