神戸のワクワクロックンロールバンド、ワタナベフラワーのクマガイタツロウは、自身のラジオ番組で、ライブハウスの未来を先取りしたアーティストのaikoのライブについて、アーティスト目線の解説を交えながら語った。
12月7日(土)に大阪のZepp Osaka Baysideで行われたaikoのライブハウスツアー「Love Like Rock vol.9」を観たクマガイは、斬新なライブの形に驚きを隠せなかったという。
「これは『新しいな』と思ったのが、フルバンドなのに、ステージ上にギターアンプもベースアンプも置いてないんですよ。アンプシミュレーターといって、アンプのような音を出す機器があって、それに直接つないでいるんです」
クマガイは、それに加え、自分たちの演奏を聴くために通常はあるはずの足元のモニターがなく、代わりにaikoやバンドメンバー全員がイヤホンでモニターしていたこと。また、ドラムが透明のガラス板で囲われていたことを挙げ、理由を語った。
「あれは何でかというと、ライブハウスっていうのは、ステージにのっている機材(アンプやドラム)から直接、音が出るんです。その音を両脇のスピーカーから出ている音と一緒に聴いちゃうと、立ち位置によって音のバランスが変わるんですよ。だから、それを全部遮断して、スピーカーから出ている音のみにして、どこにいても同じクオリティーの音が聴けるようにしているんです」
クマガイは、ライブの音が比較的小さかったことにも注目。どうしても、音の大きさ、迫力に寄りがちなライブハウスの音に対して、心地よさを大事にした方向性に未来を感じたという。また、ステージ上に機材を置かないもう一つのメリットも挙げた。
「アンプなどがステージ上にないことで、ステージのうしろから仕掛ける照明もこれまでにないものだったと思うんです。レーザービームみたいなものが、めちゃくちゃキレイでした。ライブハウスという限られたスペースで、大きな仕掛けがなくても、あの照明だけで立派なエンターテイメントだなと思いました」
aikoのライブハウスツアー「Love Like Rock vol.9」は来年(2020年)3月まで続く。