漢字1文字の一般公募で1年の世相を表す「今年の漢字」は、阪神・淡路大震災のあった1995年から始まり四半世紀を迎えた今年、新しい元号・令和の「令」に決まりました。市民の感想です。
「令和の『令』も、もちろんありますが、『よい』という意味も含まれていますので、今年がよい年になったと意味ももちろんあると思いますし、これからよい年に、令和という時代がよい時代になっていくようにという願いも込められていると思います。いざ選ばれてみると、今年を象徴するような漢字になったのではないかと思います」
「令和が始まった年に、そのままの言葉が選ばれたんだなという点で、意外だなと思いました。私は昭和生まれですので、本当に新しい時代が来たと、平成のときには感じなかったような、新鮮な気持ちにはなったような気がします」
主催する漢検(日本漢字能力検定協会)によりますと、21万6,000票あまりの一般公募のうち第1位となった「令」は14パーセントの約3万票ありました。新元号の一文字であることや、法「令」の改正による消費税増税、自然災害での警報や避難勧告の発「令」などが主な理由に挙げられます。漢検の専務理事、山崎信夫さんは次のように分析します。
「『令』って、普通、命令だとか、上からの押しつけみたいな、そういうようなニュアンスでみんな思っていたと思うんです。ただ、『令』というのは、ご令嬢とか、ご令息とか、美しいという意味があるということを、皆さん認識したんだと思うんです。その辺から、『令』というのは、本当はいい言葉だったんだということがわかったので、それが投票行動に至ったように思われます。『今年の漢字』は25回目を迎えましたが、以前は2004年に災害の『災』というのが選ばれて、それがだいたい20パーセントくらいいっていましたから、得票率(14.07パーセント)としては非常に高い位置になったんだと思います。やっぱり、(皆さんには)『美しい世の中に』、『平和な世の中に』というような思いがあるんじゃないかなと思います。また、命『令』されたとかということでも、『ちゃんと秩序を持ってやるんだよ』というメッセージというものが(込められていて)、非常に世の中に伝わったんじゃないかなと。『押しつけではなく、みんなで自主的にそういうものを守って、生きていこう』、そういうようないい意味が(『令』の一文字に)伝わったんじゃないかと思いますし、いい字が選ばれたんじゃないかなと思います」(漢検・専務理事の山崎信夫さん)
今月12日に清水寺で森清範・貫主によって揮毫(きごう)された「令」の文字は、京都・祇園の漢字ミュージアムで開催中の「今年の漢字展」に移設され、来年(2020年)2月16日まで歴代の一文字とともに正面入口に展示されています。(ラジオ関西ニュース)