64年以上にわたり、主に兵庫県の地方競馬を実況し続け、ギネス記録に認定されたアナウンサー、吉田勝彦さん(フリー)が、9日、園田競馬場(尼崎市田能)で最後の名調子を披露し、レース実況を引退しました。
加古川市の出身で82歳の吉田さんは、競馬中継がまだ一般的ではなかった18歳の時に実況アナウンスを始め、ラジオ関西(=神戸市中央区)で長らく、園田競馬・姫路競馬のレースを伝えました。
朝4時に起きて厩舎の掃除や馬の世話をしながら調教師や騎手に取材し、自己流で学んで得た独特の語り口とゴール前のハイトーンは「吉田節」と呼ばれ、競馬ファンに愛されています。
42歳で緑内障を患い、右目の視力を失いながらも仕事を続け、通算でおよそ9万レースを担当。「最も長い期間、同じ競馬場で実況したアナウンサー」として、ギネス記録に認定されています。
最後のレースも、やはり「吉田節」で締めくくった吉田アナウンサー。馬場を見つめた後、静かに涙を流しました。ファンからは、「ありがとう」「お疲れ様」と、大きな歓声が上がりました。
吉田さんは、レース実況を引退したあとも、競馬解説など、メディアでの活動は続けるということです。