令和最初の元日、新装された東京・国立競技場で行われた天皇杯JFA第99回全日本サッカー選手権大会決勝に勝利し、悲願の初タイトルを獲得した、ヴィッセル神戸。クラブ創設25年となるメモリアルイヤーを最高の形で船出することができた。新シーズンとなる2020年は、アジアでの戦いへ、AFCチャンピオンズリーグに初参戦することも決まり、いよいよ世界への扉を開けるとき。そして、J1リーグ初制覇にも果敢にチャレンジする1年となる。
そのなかで、2020シーズンへの準備も着々と進んでいるが、1月16日現在、11選手の退団が決定。FWダビド・ビジャ(38)とDF那須大亮(38)が現役を引退。DFジョアン・オマリ(31、→FC東京へ完全移籍)、DF橋本和(33、→FC岐阜へ完全移籍)、FWウェリントン(31、→未定)、GK荻晃太(36、→未定)だけでなく、期限付き移籍中だった宮大樹(23、→サガン鳥栖へ完全移籍)、三原雅俊(31、→柏レイソルへ完全移籍)、ハーフナー・マイク(32、→未定)や、クラブ育成組織出身の野田樹(21、→未定)と向井章人(21、→未定)もチームを去ることになった。また、増山朝陽(22)はアビスパ福岡へ、小林友希(19)は横浜FCへ期限付き移籍することも発表されている。
一方で、新戦力は、期限付き移籍からの復帰を含めて、現状は6人。ヴィッセル神戸U-18出身の筑波大学DF山川哲史(22)、昨年レノファ山口でJ2リーグ戦35試合3得点と活躍したDF菊池流帆(23)の加入と、DF初瀬亮(22、アビスパ福岡→)とMF中坂勇哉(22、京都サンガF.C.→)が期限付き移籍からの復帰はすでに発表されているが、この1月11日に、清水エスパルスからブラジル人FWドウグラス(32)が完全移籍加入することが決まった。
J1リーグ戦で91試合46得点の実績を持つ長身ストライカーは、2015年に、サンフレッチェ広島時代はJ1制覇の立役者となり、Jリーグベストイレブンも受賞。昨シーズンも神戸戦でのゴールをはじめ、J1で3位タイとなる14得点を記録している。「ヴィッセル神戸の一員になれてうれしく思いますし、神戸で幸せな時間を過ごしたい。これからサポーターの皆さんとたくさんのうれしい瞬間を作りたいと思います。チームの目標が達成できるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。一緒に戦いましょう」とクラブ広報を通じてコメントしたドウグラス。背番号は清水時代と同じく49番を身にまとう。
また、神戸U-18からは、FW小田裕太郎(18)がトップチームに昇格。昨年12月7日のJ1最終節となったホームゲームで、すでに加入内定が発表され、新ユニフォームを着て意気込みを語っていた、小田。2019シーズンにJリーグルヴァンカップでトップチームデビューを果たしているが、育成年代の日本代表にも名を連ねる若きストライカーの奮闘にも期待せずにはいられない。小田はクラブ広報を通じて、「小学校のスクールからお世話になっているこの偉大なクラブで、自分自身のプロキャリアをスタートできることを大変うれしく思います。家族、友人、アカデミーの方々、これまで関わっていただいた指導者の皆様の支えがあり、このスタート地点に立つことができました。本当に感謝しています。チームの勝利に貢献できるように、そして皆さんに楽しんでいただけるプレーができるように精一杯頑張ります」と初々しく抱負を述べている。
新シーズンの始動は、1月22日。そして、1月26日から2月2日まで沖縄・読谷村でトレーニングキャンプを行い、2月8日は2019年J1王者の横浜F・マリノスと対戦する「FUJI XEROX SUPER CUP 2020」で早速、公式戦がスタート。2月12日にはすぐに、ACLの初戦で、マレーシアのジョホール・ダルル・タクジムとノエビアスタジアム神戸で対戦。これが地元・神戸での今季初陣となる。2月16日にはノエスタで全選手参加予定の「Vissel Kobe Opening Fiesta 2020」を開催してサポーターに新シーズンでの奮闘を誓うと、2月19日のACL第2戦、水原三星(韓国)とのアウェイ戦を経て、2月23日には早くもJ1開幕戦。かつて神戸でプレーしていた三浦知良らを擁する横浜FCをホーム・ノエスタに迎え撃つ。2月28日のJ1第2節、鹿島アントラーズとのアウェイ戦を含めると、2月にいきなり5試合というタイトなスケジュールが待っている。
昨シーズン、前半戦で公式戦9連敗、2度の監督交代という苦渋を味わった過去を繰り返さないためにも、新シーズンはスタートダッシュをいかにうまく切ることができるかも、チームの趨勢を占ううえでも重要な要素になるだろう。アンドレス・イニエスタ(35)、山口蛍(29)、酒井高徳(28)といった実力者を筆頭に、天皇杯決勝のメンバーをベースに新シーズンも戦うことになるだろうが、今後、去就の気になるルーカス・ポドルスキ(34)の動向など、選手のさらなる入退団があるのかも含めて、クリムゾンレッドの新たな陣容にもますます期待が高まる。