兵庫県警は将来の人口減少などを見据え、2020年秋にも兵庫県内にある49の警察署と701か所の交番や駐在所を集約するなど組織の再編を行う。兵庫県警での警察署の大規模な再編は、平成の大合併などに伴って4つの警察署を廃止した2006年度以来。
兵庫県内では、定員100人に満たない小規模の警察署が全体の3分の1を超える17あり、その割合は北海道警に次いで全国で2番目。また警察署と駐在所の3割で老朽化が進み、重大事件が発生した場合に当直の警察官だけで対応できない事態も。
兵庫県警の再編・統合をめぐっては3年前に有識者を交えた懇話会を開き、小規模の警察署は都市部と比べ、警察官1人当たりの業務負担が少なくなっている現状を踏まえて、警察署、交番、駐在所をそれぞれ統合し、サイバー犯罪や人身安全に関する事案など本部の専門分野の機能を強めるべきとの答申を出した。
計画では、養父警察署を朝来警察署に、豊岡北警察署を豊岡南警察署に、佐用警察署をたつの警察署にそれぞれ統合する案で一本化され、統合される3つの警察署の建物は分庁舎として地域との連携を図る。
有識者懇話会を取りまとめた防衛大学校・元学長で兵庫県立大学理事長の五百旗頭真さんに聞いた。
「各種犯罪が高度化する一方、警察は単に頑張りだけで対応しようとしている。こうなると同時多発的に複数の犯罪が起きて、結果的に揺さぶられてしまうことになるとどうなるか? 兵庫は全国の縮図といわれ、神戸のような大都会とその他の郡部との差もある。果たして警察官1人しかいない拠点をたくさん作ることが安全を守ることになるのか? やはり機動力を生かして実際の安全をカバーするべきでは」
兵庫県警はパブリックコメントの結果を踏まえて対策を検討し、2月県議会に改正条例案を提出する見込みだ。