女子サッカー・なでしこリーグ1部のINAC神戸レオネッサは、2020シーズンの新戦力として、日テレ・ベレーザからなでしこジャパンFW田中美南(25)が完全移籍加入することが決まったと発表した。
日テレのリーグ4連覇、2年連続3冠(なでしこリーグ、なでしこリーグカップ、皇后杯)にエースFWとして貢献しただけでなく、リーグ戦で2年連続最優秀選手賞および4年連続得点王に輝くなど、近年、国内で最も輝かしい実績を残している選手を、宿敵から電撃獲得できたレオネッサ。タイトル獲得を望むクラブの今季にかける思いが如実に表れた即戦力補強といえよう。
田中は13シーズンにわたってプレーした日テレのクラブ広報を通じて、「考えて、悩み、周りの人に相談をし、自分の直感も信じてこの決断に至りました。今の夢は、東京五輪で活躍して支えてもらった人たちに感謝をすること。そのために、自分のために環境を変えることを選択しました」と、移籍への思いを打ち明けたうえで、INAC神戸のクラブ広報を通じて「今シーズンからお世話になります田中美南です。素晴らしい環境、街、新しい選手、スタッフの方々とともに戦えることを楽しみにしています。自分自身の成長とともにチームに貢献し、リーグ優勝をしましょう! 応援よろしくお願いします!」と意気込みを述べていた。
この田中の電撃加入の報を受けたINAC神戸の選手たちも、驚きと歓迎の様子を示している。SNSでは、かつて日テレでチームメイトだったなでしこジャパンFW岩渕真奈(26)が、「めちゃめちゃ楽しみ♡♡♡」と反応。その後、INAC神戸のユニフォーム姿が掲載された写真については「え、似合わなそう♡」といじりつつ、日テレMF長谷川唯(22)の「最強に似合わない♡」というコメントには、「これから似合うんだよ♡」と返し、新たにチームメイトとなる田中に期待を寄せていた。
さらに、FW京川舞(26)は、20日に放送されたINAC神戸応援番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)に電話出演した際、番組パーソナリティーの近藤岳登(38)から率直な心境を尋ねられて、「『えっ、まじか!』と(思った)」と、驚きを表現。そのうえで、「ポジション争いという感じになるが、ある意味、楽しみ。逆に燃えてきた」と、育成年代から切磋琢磨してきたライバルFWとの競演に気合いを込めていた。「ゴール前で自分ひとりでもゴールに強引に持っていけるところは、いかにも『ザ・フォワード』」と田中を称える京川にとっても、間違いなくいい刺激になりそうだ。
そして、京川とともにラジオ番組に電話出演したMF杉田妃和(22)も、「全然INAC神戸に来るのは知らなかったので、びっくりした」と述べつつ、「本当に得点力のある選手で、(相手にとっては)フリーにはできないし、目を離してはいけない選手。そういう選手が自分のチームにいるのは心強いところもあり、練習でも高め合える」と、なでしこジャパンでも一緒にプレーする田中をリスペクト。得点力を備えたストライカーの加入を受けて「タイトル取らなきゃ……」と、INAC神戸として近年遠ざかっているタイトル獲得への思いをさらに強くしていた。