2020シーズンが1月27日に始動した、女子サッカー・なでしこリーグのINAC神戸レオネッサ。同日の午後には早速、新体制発表会見も行われ、安本卓史取締役社長や新たに就任したゲルト・エンゲルス監督、なでしこリーグ1部4年連続得点王&2年連続MVPのFW田中美南を筆頭とする新加入選手が所信表明を行った。
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会見で、安本社長は「3年連続タイトルをとれていない現状を受け止め、いろんなことを考えての補強となった」と新体制についてコメント。エンゲルス監督の就任に際しては「Jリーグでも数々の実績を持ち、経験豊富で戦術の引き出しも多く、人格者」と新指揮官の能力の高さを評価するとともに、「選手たちと同年代で、サッカーをプレーし、ヨーロッパで活躍されている娘さんがいる。(エンゲルス監督は)女子サッカー選手をしっかり理解いただける方。女子選手をしっかり導いてくれることを期待してお願いした」と、そのパーソナリティーや環境も、タクトを託すうえでの大きな要素になったという。
そして、「一番は得点力不足どう解消するか。そのためには中盤からしっかりボールをつながないといけない」と、田中、阪口萌乃ら即戦力獲得の意図を説明した、安本社長。タイトル獲得へ陣容を揃えたなか、「(始動日の)選手の顔をみると、昨年まであまり感じられなかった手応えや、例年以上に意気込みをすごく感じる。よい空気、よい準備を作って2020シーズンに臨みたい」と前を向いた。会見の場では、チームの新スローガン、「”NEW CHALLENGE”すべては勝利のために」も発表された。
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一方、なでしこリーグでの初采配となるINAC神戸の新指揮官、エンゲルス監督。「積極的なサッカーをやりたいし、選手の武器を思い切りいかしたい」と述べたうえで、「(これまで)当然いろんな試合を見たり、生でも見た。足りないところについては、昨年の話などはあまりしたくないが、得失点だけをみると、得点が少なく、失点のところはOK。相手にあわせるより自分たちのプレーをしていきたい。積極的にオフェンスを行うだけでなく、ディフェンスも奪うこと、ボールを取ることを大事にしたい。あとは攻撃のクオリティを毎日の練習で上げていく」と、攻守のアグレッシブさをチームに求めていく方針だ。
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この会見では、チーム在籍選手リストと背番号も公開。空き番だった4番には、3年目となる牛島理子が抜擢されている。これについて、安本社長は、「彼女は前十字靭帯を損傷して、今、リハビリ中だが、帰ってきてからもう一度戦う場をつかんでほしい。世代別でも活躍してきた選手であり、将来的にも中心選手になってほしいという思いを込めて、空いていた4番を理子に渡した」と述べ、牛島にはクラブからの大きな期待を感じさせた。
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また、新加入の田中が9番を担い、これまで9番をつけていた増矢理花は17番に。「今のままじゃダメだなと、代表活動とか呼ばれていくなかでそう感じたので、ここに入団することを決めた」という田中は、「(増矢)理花ももちろん、いろんな思いをもって背負ってきた9番だと思うし、いろんな気持ちがあって譲ってくれたと思うので、そういう理花の気持ちも背負わなければいけない」と新チームメイトの思いもくみ、覚悟を示した。また、安本社長からも「INAC神戸で9番をつけるということは、なでしこジャパンで9番をつけて東京五輪に出て、東京のゴールネットを揺らすこと。それが一番の期待だと申し伝えた」と、さらなる成長を促されていた。