真夜中に家を追い出された小学6年生の女子児童を、神戸市こども家庭センター(児童相談所・神戸市中央区東川崎町1)の男性職員が追い返していた問題で、市民からは憤りや呆れの声が聞かれました。

この問題は、10日未明「家庭でもめ、家を追い出された」と、神戸市こども家庭センターへ相談に訪れた、小学6年生の女子児童(12)を、神戸市が夜間と休日の当直業務を委託するNPO法人「社会還元センターグループわ」の男性職員がインターホン越しに「警察に相談するように」と言って追い返したものです。女児はその30分後、センターからおよそ300メートル離れた生田警察署管内の交番を訪れて保護され、センターはその後、虐待と判断しました。
この男性職員は5年ほどの相談員として勤務していて、女子児童が「大人っぽく見えた」、「緊急性を感じなかった」などと説明しているということです。マニュアルでは、当直の時間帯に相談があった場合は神戸市の職員に速やかに報告することになっていますが、それを怠りました。市のこども家庭局の職員に伝わったのも、事が起こってから1週間以上経ってからでした。
神戸市の元町商店街で市民に話を聞きました。
・60歳代男性
「夜中に来て、面倒くさかっただけなんじゃないでしょうか。警察署(正確には交番)が近くにあるとわかっていてもだめでしょう、人間性の問題。僕らのころは考えられない話。上司は(その職員が)どういう対応をするかわかっていただろうし、そういう人を勤務させたのも問題だ」
・30歳代女性
「子どもがあまりにもかわいそう。子どもにSOSを出させた家庭も問題だが、それを追い返す意味が私にはわかりません」
・70歳代男性
「命がかかっているという自覚がないのにそんな仕事したら、あかんやろ!」
神戸市の家庭支援課は、「マニュアル云々というより、倫理的な問題だ。《子どもの命を守る》という役割を認識しなおし、初期対応の大切さを含め研修を行う。(男性職員の処分については)市で決めることではないが、委託先が適切かどうかも含め検証していく」としています。