「国鉄姫路駅」やかつての武家屋敷など、兵庫県内に建てられた建造物や景観のスケッチを集めた特別展「スケッチでたどる兵庫の建築と景観」展が、姫路市本町にある兵庫県立歴史博物館で開かれている。
作者は、龍野市(現たつの市)出身で、姫路市立中学校の美術教師だった故内海敏夫氏と、もともとは建築家で兵庫県職員として長年勤務し、2001年に始まった「ヘリテージマネージャー制度」の世話人も務めた沢田伸氏の2人。あわせておよそ290点を展示している。
内海氏は「時が経つにつれて、当たり前だと思っていた景色が失われていく」ことを予見し、1978年ごろから兵庫県内の民家や街並みをスケッチに残した。今では見ることができない、国鉄姫路駅や野里門拘置所、姫路市生野町のノコギリ型町並みなど、地元・姫路を中心に兵庫五国(但馬、丹波、播磨、淡路、摂津)を、写実的な表現でありながら、写真でははっきりわからないような細かいところまでリアルに描いている。
沢田氏は、1988年から建物や街並みのスケッチを描き始めた。黒のボールペンだけを使って、兵庫県内だけではなく、全国各地や海外の建造物を、建築家の目線で描いている。近代建築を中心に展示されており、豊岡市出石町にある芝居小屋「永楽館」の修復前と修復後の姿や、今では違う形で使われている三木鉄道三木駅舎、姫路市網干区の旧網干銀行本店の当時の姿も見ることができる。
今は見ることができなくなった建物や風景を描いているものも多く、会場では、古き良き当時の兵庫に思いをはせながら、一つひとつの作品を丁寧に見て回る人の姿が見られた。
特別企画展「スケッチでたどる兵庫の建築と景観」は、兵庫県立歴史博物館で3月22日(日)まで開催中。入場料は大人500円、大学生350円、70歳以上250円、高校生以下は無料。