兵庫県多可町で3年前、町立小学校5年で10歳の女子児童がいじめが原因で自殺した問題は、町が和解金300万円を支払う内容で2月27日までに和解した。
遺族側の代理人弁護士によると、遺族側が民事裁判で慰謝料などの金額を争うことを望まず、より迅速に解決できる「裁判外紛争解決手続き」を申し立てたことから兵庫県弁護士会の紛争解決センターが仲介し、早くに和解が成立したという。
いじめの自殺をめぐり、民事裁判をせずに遺族と自治体の間で和解が成立したのは全国で初めて。事件後、町の教育委員会がいじめの防止に向けて真相解明に真摯に取り組み、反省を示したことが大きな要因。
遺族側代理人・野口善國弁護士はこの制度について「自治体が真相解明に向け誠実に対応し、その取り組みや姿勢が遺族から理解されれば無駄な争いが避けられる」と評価している。
多可町の第三者委員会がまとめた報告書は、女子児童が仲間外れにされ、グループでほかの児童と遊ぶことを制限される「囲い込み」といったいじめを受け、精神的に疲れて自殺したと結論付けた。
女子児童の遺族は「娘はたった10年しか生きられませんでした。私たちは毎日娘に話しかけていますが、返事が返ってくることはありません。わかってることですが悲しいです。娘の命が無駄にならず、この事件を教訓に再発防止がなされることを心から願っています」と話した。
第三者委員会によるいじめの検証は進んでおり、吉田一四町長は「調査報告書を真摯に受け止め、ご遺族と協議を重ねて参りました。二度とこのような悲しいことを繰り返さないよう町をあげて全力で取り組んで参ります」とコメントした。