よりよい地球を目指すため、世界の国々が共有すべき目標として国連サミットが採択した「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals=SDGs)。17にも及ぶ項目を、未来を担う同世代や子どもたちに理解してもらい、行動につなげるにはどうすればいいか。関西学院大学の教育学部で学ぶ学生たちが、教える側と、学ぶ側に立って楽しく学習できる「SDGsかるた」を企画し、製作にかかる450万円をクラウドファンディングで募集している。
考案したのは、湊秋作教授のゼミで環境教育などを学ぶ3、4年生18人だ。
SDGsは、国際社会が2030年までに達成すべき目標で、「貧困をなくす」「健康と福祉を全ての人に」「住み続けられる街づくり」「経済成長と働きがいの両立」「豊かな海を守る」など17項目からなっている。
これらの課題解決を企業活動と結びつけることで、企業価値をあげていこうとする試みも経済界で始まっている。学生たちは授業で学ぶまで詳しい内容を知らなかったが、理解を深めるにつれて「一人ひとりの具体的な行動につなげるにはどうすればいいか」「子どもたちにわかりやすく伝えるには」といった問題意識が膨らんでいった。話し合うなかで、楽しく学べる「かるた」を思いつき、関学の「SDGs・生物多様性研究センター」と協力して製作を始め、約10か月で完成させた。
かるたは、一般的なかるたと同様に「あ」から「わ」までの読み札と絵札、解説集で構成。全44枚の読み札には、SDGsの17項目の目標に関連する文章と、短い解説が添えられているので、かるたの参加者は、読み、聴きながらSDGsが学べる。
例えば「さ」の「再生可能エネルギーを普及させます」では、再生可能エネルギーの具体的な紹介を「温室効果ガス」との関係で解説。地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」にも言及し、具体的な行動がSDGsのどの課題解決に貢献するかにもふれている。
学生たちがまとめた98ページにもおよぶ解説集の監修は、SDGs・生物多様性研究センターの客員研究員が担当。小・中学校、高校の教材や大学のワークショップ、企業での研修教材としても利用できる。
かるたは500部の製作が目標。印刷費や発送費など450万円をまかなうため、1月末から募集を始めている。千円から受け付け、4千円以上支援すると解説集が付いたかるたが届く。
湊教授は「解説集を監修し、学生たちを励まし、育ててくださった研究センターの客員研究員で、経団連自然保護協議会企画部会長、三井住友信託銀行経営企画部サステナビリティ推進室審議役だった石原博さんが2月中旬に急逝された。その遺志を心に、かるたを普及させたい」と話している。