日本人最年少のフォーミュラ・カー・ドライバーとして、欧州デンマークで5月に開幕する「デニッシュ F4 チャンピオンシップ」でデビューする女子中学生レーサー「Juju(ジュジュ)」こと野田樹潤さん(14)。新型コロナウイルスの影響で練習は思うにまかせないが、開幕戦で使用するマシンのテスト走行で大きな手応えをつかんだ。4月5日のテスト走行では、2番手に1.3秒の大差をつけるトップタイムをマーク。4月17日には、サーキットのコースレコードを0.2秒更新した。レース日程の行方や、見えない敵に不安もあるが、「今やるべきことをやるだけ」と集中している。
ヨーロッパでも猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で、サーキットでのテスト走行は、1日に3チームに制約されている。シェイクダウンと呼ばれるテスト走行は、完成したマシンの最終調整にあたり、電気系統や燃料系統を何度も走りながら調整する。メカニックの努力もあって、マシンは順調に仕上がっている。
開幕戦の舞台となるパドボーグパーク・サーキットでの4月5日のテスト走行では、雨にもかかわらずトップタイムを記録。その後、コースが乾いたコンディションでは、2番手に1.3秒の大差をつけた。しかも2019年のレースでポールポジションを獲得した予選最高タイムを上回る内容だった。
好調はその後も続き、4月17日は、マシンの調整に重点をおいたテスト走行にもかかわらず、それまでの自身のベストタイムを0.3秒も更新し、コースレコードを約0.2秒も上回った。
元F1レーサーで、父親であり監督でもある野田英樹さん(51)は、「走り込んだタイヤでの走行でしたが、予想以上にマシンのバランスがよくなった。ニュータイヤを使用すればさらにタイムアップする自信はあるが、今やるべきことはタイムではなく、マシンを最高の状態に仕上げること」と、準備に余念がない。
新型コロナウイルスの影響で日程の行方すら定かでない開幕戦に意識を集中させ続けることは容易ではない。Jujuは2月に14歳になり、心待ちにしていた現地のインターナショナルスクールに入学したが、3月上旬に1週間通っただけで休校に。トレーニングジムも閉鎖されるなかで、現在は自宅で黙々と勉強とトレーニングを続けている。
「練習でトップタイムを出せたことは素直にうれしいけど、目標はもっと上にあるし、本番は甘くないと覚悟しています」とJuju。「明るく前向きに前進することで、きっとレースにもコロナウイルスにも勝てると信じて頑張ります」と話している。