西播磨歴史絵巻(1)「梛八幡神社の神事獅子舞」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

西播磨歴史絵巻(1)「梛八幡神社の神事獅子舞」

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 2018年から丸2年にわたって、主に兵庫県西播磨県民局管内に点在する山城と、そこを根城として活躍した赤松氏一族を中心に、ラジオ関西で105回にわたって展開してきた番組『西播磨の山城』。3年目に入るにあたり、2020年度からタイトルを『西播磨歴史絵巻』と改め、装いも新たにスタートしました。この番組では、西播磨の山城への探求に加え、周辺の名所・旧跡を併せるとともに、古代から中世を経て江戸時代、近代にかけて、西播磨で名を挙げた人物についても掘り下げていきます。

山崎整の西播磨歴史絵巻
『山崎整の西播磨歴史絵巻』

 新年度の手始めは、たつの市神岡町大住寺(だいじゅうじ)にある衣笠城です。越部砦や越部構の呼称から、大きな規模ではなかったことが分かります。海抜133メートルの衣笠山山頂にあり、いつ誰の築城か定かではありません。城について詳しくは次回に譲り、衣笠山の東の麓、たつの市神岡町沢田にある梛(なぎ)八幡神社の兵庫県無形民俗文化財に指定されている「神事獅子舞」を取り上げます。

 同神社は、仲哀天皇を主祭神に、后である神功皇后とその息子の応神天皇を祭ります。神社の創立は不詳ですが、715年ごろに編まれた『播磨国風土記』をはじめ『峰相記』や『播州名所巡覧図絵』などに記されています。古くは「梛」を2文字に分けた那祇八幡宮をはじめ、那祇山八幡大菩薩、上岡明神那祇八幡宮などとも呼ばれ、広く信仰を集めてきました。

 こちらの獅子舞は古くからの神事で、江戸中期から約300年間、中断なく毎年10月20日の例祭に奉納されています。舞は12曲あり、全体として華やかで技巧的な特徴を持ちます。起源はもっと古いとされますが、1719年から氏子16地区が交替で当たってきました。例祭は多くの見物客でにぎわいます。

 獅子舞は、2人の獅子使いが獅子頭に付けた油単という胴衣を被って、ささら・扇・なぎなた・斧などを持った童子とともに、笛・太鼓・拍子木のはやしに合わせて、さまざまな所作をしながら舞い踊ります。動きは多彩で、可憐さあり、優雅さあり、時に勇壮であったり、ユーモラスで曲芸的なものだったりと、バラエティーに富んでいます。 中でも特に有名なのが「継ぎ獅子」です。獅子も童子も人の肩の上に乗り、立ち上がってアクロバット的な演技をするため「梛の継ぎ獅子」として名をはせています。

(文・構成=神戸学院大学客員教授 山崎 整)

※ラジオ関西『西播磨歴史絵巻』2020年4月7日放送回より


ラジオ関西『山崎整の西播磨歴史絵巻』2020年4月7日放送回音声

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