卵かけご飯、目玉焼き、ゆで卵、タマゴサンドなど、食卓に欠かせない卵。そんな卵で、いま、食べておきたいのが、「オクノのたまご」だ。
1950年代から加古川市八幡町で3代にわたって採卵養鶏業を営み、地元密着の経営を続けてきた結果、評判が評判を呼び、いつしか「オクノのたまご」と呼ばれるまでに浸透。そのまま「オクノのたまご」をブランド名に掲げるようになった。そして、このたび、飼料用米を活用した畜産物のブランド化を進める農家を表彰するコンテストで、最優秀賞に当たる農林水産大臣賞を受賞した。
TKG(卵かけご飯)チャンピオンシップ3連覇したこともある「オクノのたまご」は、もともと飼料用米を使っていたわけでは無く、輸入トウモロコシを使っていた。しかし、世界的な人口増加による穀物のひっ迫、頻発する異常気象による影響、飼料原料の9割を輸入に依存していることに不安を抱き、リーマンショックで穀物市場が暴騰した2008年、地元で契約栽培された米に代えてみようと考えた。
地元農家にとって耕作放棄地が減少し、地域に少なからずお金が回るようになることや、輸入依存から脱却し飼料自給率の増加と安定化を図れることなどのメリットから、地元の契約農家の米を飼料に使うことを決意。最初は4トンからスタートし、10年以上地道に続けた結果、今では加古川・稲美町・神戸市西区で約200トンの米を活用するまでになった。
また、使う飼料は「秘密の」「秘伝の」という曖昧な表現をすることなく、原料一つひとつを説明できないとダメだという信念で、釧路産のサンマ魚粉、赤穂の塩、地元で契約栽培されたお米などを中心に12種類の原料を配合している。
さらに、こだわりは飼料だけではない。鶏舎は開放型のため風の通りが良く、日が差す環境で過密にならない鶏舎で飼育している。そういった努力が卵の味にも変化をもたらし、リノール酸・オレイン酸含有量が増え、白身の粘りや甘味が増すといった効果が表れるようになった。
今回、日本一に輝いた生産者の奥野克哉さん(株式会社オクノ)は、受賞の喜びを次のように語っている。
「この分野は、大規模な産地である東北・北海道・九州などが特に盛ん。スケールが比べ物にならないので、受賞は難しいと思っていた。生産者と消費者・飲食店・小売店との距離が近いという特徴を最大限に生かした取り組みが、今回評価された一番のポイントだったと思う。小規模な経営でも存在感を示すことができる、という結果を地域に持ち帰れたことが何よりうれしい」
株式会社オクノ(オクノのたまご)
https://www.okunofarm.co.jp/