神戸市北区の谷上駅と新神戸駅とを結ぶ北神急行電鉄が、6月1日、市営化され「神戸市営地下鉄・北神線」として、新たなスタートを切った。
民間鉄道の市営化は異例。神戸市は親会社の阪急電鉄から資産を198億円で譲渡、地下鉄との一体運営でコスト削減を図る。
北神急行は、谷上駅と新神戸駅の間の1駅間・7.5キロで運行され、新神戸駅から神戸市営地下鉄として相互乗り入れしていた。2018年12月に神戸市へ施設などを譲渡することで合意、2020年3月に国土交通省から認可を受けた。
1日、北神急行電鉄と神戸高速鉄道から神戸市への引継ぎ式が谷上駅(神戸市北区)で行われ、北神急行電鉄の辰馬秀彦代表取締役社長、神戸高速鉄道の久須勇介代表取締役社長から、神戸市の久元喜造市長に引継書が手渡された。
久元市長はあいさつで「1988年の開業以来32年間、北神急行は無事故だった。北神急行電鉄の皆さんに感謝する。市営化は利用者にとって大きなメリットになるとともに、神戸市北部、そして三田や北摂の活性化に大きく貢献するものと期待する」と述べ、市営化を記念したヘッドマークを付けた列車が、拍手の中三宮方面に向けて出発した。
市営化により谷上~新神戸間の運賃は初乗りとしては日本で一番高額の370円、谷上~三宮間の運賃はこれまでの550円からいずれもほぼ半額の280円となり、利用者の増加や神戸市北部と三宮など中心部の活性化が期待される。この日は学校が再開したこともあり、定期売り場に学生などが列を作った。
久元市長は「神戸市の北部は自然が多い。ウィズコロナが叫ばれる今、自然の中でゆったりと暮らすライフスタイルが見直されている。沿線の活性化につなげていきたい」と話した。