1920年、「時」展覧会が開催される。「時」は生活のすべてに関するものだから何でも展示の対象になった。大盛況で、会期も延長。7週間に22万人が訪れた。当時の東京の人口370万人の6パーセントにあたる。この展覧会の会期中、天智天皇の故事にちなんで6月10日が「時の記念日」と制定され、セレモニーが行われた。東京教育博物館では、棚橋源太郎館長の号令とともに多くの風船が飛ばされた。正午を告げる大砲がとどろき、工場や事務所の汽笛がなり、寺社・教会の鐘も打ち鳴らされた。今でいうところのカウントダウンと言える。
また、東京市内では、女学生や児童が時間を守ることを呼びかける5万枚のビラを配り、浅草や銀座など5か所で、東京天文台から持ち出した標準時計を用意して、通行人に「正しい時刻に合わせてください」と呼びかけ、それぞれが持っていた時計の時刻合わせを行った。
「時の記念日」は人々に「秒」を意識させた初めてのイベントになった。
★そして今年「時の記念日」100周年 明石市立天文科学館は開館60周年
子午線のまちとして知られる明石。子午線上に立つ明石市立天文科学館は1960年6月10日にオープンした。毎年さまざまなイベントを行っている。今年は60周年。盛大にお祝いしたいところだが、新型コロナウイルスの影響で、天文科学館はこの日、臨時休館。午前10時から午後3時までオンラインでのイベントが行われる。
当日のオンラインイベントでは、「明石から発信。100周年祝賀イベント」のほか、全国の天文台をつなぎ、子午線リレーも開催する。明石(天文科学館)は子午線上に建つ。太陽が南中となると、日時計が示す影は全国で最も短くなる。全国でどれだけの差が出るのか、各地の天文台をつないで中継する。
また、100年ぶりとなる「『時』展覧会2020 in 明石」も7月12日まで開催中。100年前の展覧会で展示されたものや、日本の時計技術の歩み、日本標準時や時間に関する最先端の研究について紹介する。
100年前の展示からは、女性が一生のうちに化粧に費やす時間を解説したパネルや、人や動物などが1秒間に動く距離を比較したパネルなどが見られる他、100年前にビラを配った子どもたちの声も紹介されている。
明石市立天文科学館 ホームページ
http://www.am12.jp/
明石市立天文科学館 YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCEEFdpOwKKORoc8SRMCtROg