このほか、展示では外来生物として、アメリカザリガニやオカダンゴムシ、コイ、早春に青い花を咲かせるオオイヌノフグリなどが、その影響とともに紹介されている。こうした身近なものは「お前もかーい!」と言いたくなる。
外来生物といっても、外から日本に来たものばかりではない。日本から「外来生物として」運ばれたものもある。その代表格が「ワカメ」だ。遊走子(胞子の一種)がバラスト水に含まれた状態で運ばれてそこで繁茂し、貝の養殖などに悪影響を与えている。また「クズ」も園芸や緑化などのために持ち込まれたものが、北アメリカ南東部で繁茂した。つる植物なので、他の植物を覆って枯らしてしまうという問題になっている。
そして日本国内でも、「外来生物問題」は存在する。ある地域にしかいない生物が、人の手によって他の地域に運ばれ自然の中に放たれた場合、「外来生物」となり、問題となることがあるという。
大阪市立自然史博物館の 和田岳学芸委員は「外来生物が一度定着した生態系はなかなか元に戻らない。生き物を飼育・栽培する場合はきちんと管理して、逃がさない、放さないことが何より大切。外来生物の問題を理解して、地域の自然を継続して観察することが、新たな外来生物を定着させない、未来の自然を守るための対策と言える。特別展を通して考えるきっかけになってほしい」と話す。
大阪市立自然史博物館 第50回特別展
「知るからはじめる外来生物〜未来へつなぐ地域の自然〜」
会期 2020年6月9日〜8月30日
休館日 月曜(ただし8月10日は開館)
会場 大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール(大阪市東住吉区長居公園1-23)
電話 06-6697-6221
観覧料 大人500円、高校生・大学生300円、中学生以下と大阪府内在住の65歳以上は無料
※新型コロナウイルス感染症の拡大状況次第では会期途中で臨時休館の場合あり
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/