「ボーガン」規制、法律のはざまで…スタンス一律ならず

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 3人が死亡、1人が重傷となった宝塚市のボーガン殺傷事件。凶器となったのは「ボーガン」や「クロスボウ」と呼ばれる引き金を引いて発射する洋式の弓だった。事件で使われたように殺傷能力が高いものもある。

ボーガン(クロスボウ・洋弓銃)※写真はイメージ・一般所有者提供
ボーガン(クロスボウ・洋弓銃)※写真はイメージ・一般所有者提供

「日本ボーガン(ボウガン)射撃協会」によると、ボーガンは現在、アメリカやイギリスなど海外で製造されたものが、国内で市販され誰でも簡単に入手でき、インターネット通販でも購入できる。宝塚の事件でも容疑者の男は「2020年1月、インターネットで購入した」と供述している。

 捜査関係者によると、競技大会に持参するなどの正当な理由なしに持ち歩いていると軽犯罪法違反となるという。

 一方、菅官房長官はボーガンについて5日の会見で「さらに規制を設けることは、その使用実態や事件の発生状況などを踏まえながら必要に応じて検討を行っていく」と述べた。具体的な規制のあり方については言及を避けた。

 今回の事件で危険性だけがクローズアップされているが、現在の法律では銃刀法違反としての規制対象ではない。欧米ではフェンシングのサーベルなどのようにスポーツのツールとして捉えられており、国際大会も開催されている。協会は「所有者は事故や危害の防止に努める責任がある」と呼びかける。

 兵庫県は5日、宝塚の事件を受けてボーガンを青少年愛護条例の「有害玩具類」に緊急指定した。

兵庫県庁

 玩具販売店などでは青少年にクロスボウを売ったり、貸したりすることが禁止される。インターネット販売も同様で、違反した場合30万円以下の罰金または科料が課せられる。

 2019年7月に発生した「京都アニメーション放火殺人事件」では容疑者の男が事件直前、ガソリンスタンドに携行缶を持参して店員に「発電機に使う」と伝え、ガソリン40リットルを購入した。 この事件を受け、ガソリンを容器で販売する際、客の身元や使用目的の確認と記録を事業者に義務付ける総務省令が2020年2月1日に施行された。ガソリンを悪用する事件の再発防止が狙いだ。客が身分を偽ったり、第三者に転売したりする懸念もあるが、総務省消防庁は「客とコミュニケーションを取ることで不審者を発見しやすくなる」としている。

 ボーガン、ガソリン携行缶……いずれも犯罪の道具となることを想定していたわけではないが「野放し」にはできない。ボーガンについては各自治体の裁量で一定の規制を敷くにとどまっているのが現状だ。

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