「あの妖怪」が和菓子になって食卓に並ぶ。
アマビエという妖怪の存在をご存知だろうか。半分は人間、もう半分は魚の妖怪だ。なんだか人魚みたいだが、そこまでロマンチックなものではなく、かといっておどろおどろしく気持ちの悪いものでもない。どことなく愛らしく「きもかわいい」ようなキャラクターである。江戸時代の末期に熊本の海に姿を現したという記録が残っており、疫病よけのご利益があるとされている。そのありがたいご利益が高じ、この昨今のコロナ禍をきっかけに知名度を上げた。
そんなアマビエに、長田の和菓子店で会うことができる。
1877年創業の老舗和菓子店「長田のういろや」が、アマビエをかたどったお菓子を販売している。長田神社前商店街のういろやは、『ういろ』をはじめ、羊羹、焼菓子、生菓子等、幅広く製造販売する。今の時期のおすすめはわらび餅、くずもちなど。これらにくわえて「地元を元気づけたい」との願いを込めた新しいお菓子を生み出した。
きっかけは友人の一言。5代目の多田進博さん(55)の妻、昭子さんがツイッターでコロナ禍による売上げ減を嘆いたところ、秋田県で和菓子屋を営む友人から「アマビエの菓子を作ってみては」と提案があったのだ。これを受けて進博さんは4月中旬に試作をはじめる。以前からクリスマスやハロウィンなど、季節の行事を表現する上生菓子を作ってきた経験があり、5月には店頭に並べはじめたという。
緑の髪は抹茶で、うろこの赤や青は食紅を使って表現。現在は週に1~2回、1日に100個ほどを製造しているが、人気のために売りけれてしまうこともしばしば。価格は2個で400円。今後いつまで販売するかは未定だが、「6月いっぱいは販売したい」と同店は語る。
ご利益のある妖怪「アマビエ」の和菓子でなんとか験を担いで苦境を乗り越えたい。
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