J1再開 7・4の記憶 神戸(3)~「WITHコロナ」でのサッカー、サポーターの存在~

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 7月4日、待ちに待ったサッカー・J1リーグ戦の再開の日。ヴィッセル神戸の試合が、2月23日のJ1第1節以来、ノエビアスタジアム神戸(ノエスタ)に戻ってきた。その第2節、サンフレッチェ広島戦での『リモートマッチ』の取材レポート、まとめとなる第3回は、いざ試合にかかわる様子を届ける。

©VISSEL KOBE
©VISSEL KOBE

「神戸讃歌」が流れるなかで、審判は先に2人が入場、そして、あとから、ヴィッセル、広島、残りの審判2人も相次いで登場。普段は2列に整って並びながら入ってくるものだが、今回は各選手がハーフタイム後のようにそれぞれ出てきて、すぐに写真撮影の態勢に入る。陣形は、ヴィッセル、広島、それぞれチームの色が出たものに。今後の試合前のチーム集合写真、どんな感じで映るのかも、新たな見どころになるだろう。

 キャプテン同士のコイントス時には審判陣、アンドレス・イニエスタ、佐々木翔が肘タッチで健闘を誓いあう。試合に先立ち、新型コロナウイルスと日々戦っている医療従事者への敬意を込めて感謝の拍手を実施。そして、カウントダウンからのキックオフは午後7時33分。

 試合に入っても、『リモート応援システム』による、ヴィッセルサポーターの応援チャントが流れ続ける。なので、無観客時にありがちな、選手の声がスタンドの記者席に届くことは、なかなかない。ただ、いつもなら、いいプレーへ拍手が響いたり、惜しいシュートシーンでみんなが頭を抱えて悔しがったり、そういった光景が見えないのは、やっぱり寂しさを感じる。

 ピッチ周りでは、ちょっとした変化も多々見られた。ピッチ外にいるリザーブの選手やスタッフ、関係者がマスクをしていることをはじめ、間隔を取って座るベンチ、給水の取り方など、感染防止対策を試合でも実行。試合が終わった際も、両チームと審判団はいったんピッチ中央に集まるも、すぐに引き上げ、場内の音声も抑えられる。まるで余韻に浸る間もないように。そのころ、記者は取材エリアに移動するのではなく、記者席に待機。監督や選手たちと接触しない形で、オンラインでの記者会見に臨んだ。筆者がスタジアムを出たのは、午後10時15分ごろ。スタジアムの照明は灯っていたとはいえ、周囲はすっかり暗がりに包まれていた。

(Photo by T.MAEDA)
試合が終わって約1時間後のノエビアスタジアム神戸(Photo by T.MAEDA)

 さて、肝心の試合は、0-3でヴィッセルが敗戦。守備の要、トーマス・フェルマーレンが不在で、近年なかなか勝てていない難敵相手だったとはいえ、「僕たちが求めていたスタートではなかった」とイニエスタ。セットプレーやカウンターで失点を重ねると、相手GKの好守もあって決め手にも欠き、クリムゾンレッドにとってはほろ苦い再開初戦になってしまった。これで昨シーズンからの公式戦無敗も9でストップした。「4か月間空いたなかで、すべてがうまくいくことは、もちろん簡単なことではない。チームとしてはさらに成長して、(サガン)鳥栖戦に向けて準備をして、次は勝ちたい」、クリムゾンレッドのチームリーダーである8番は、次節からの巻き返しを誓っていた。

 それでも、「プレーできること、リーグが再開したことは喜んでいる」とイニエスタもいうように、またサッカーが世間に帰ってきたことが、なによりの大きな出来事。そして、次のヴィッセルのホームゲーム、7月18日の清水エスパルス戦からは、5000人以内とはいえ、観客有りでの試合へ移行(Jリーグでの有観客実施は7月10日から)。しばらくはチャントが歌えなかったり、大声での声援が送れないなど、様々な制限下のなかでの開催となるが、サポーターのいる空間での試合が可能になる。「少しずつ日常に戻ってくることを願い、1日でも早くファンのみなさんとスタジアムで会えることを願っている」というイニエスタの言葉は、選手、そしてクラブの思いを代弁するものだろう。

「実感したのは、僕らは練習だけやっていても仕事じゃないということ。試合とかをファンの人たちに観てもらって、何かを与えることが僕らの仕事。これからもそういう(ことを意識して)プレーをしていきたい」と試合後に述べたのは、西大伍。サッカーができる幸せと、Jリーグやプロスポーツはサポーターや「見てくれる人」がいるからこそ成り立つものだということを誰もが痛感した再開初戦。Jリーグが、ヴィッセル神戸が、コロナ禍のなかでリスタートした、第一歩。その日のことは、これからも心にとどめておきたい。

≪おわり≫

(前田敏勝)


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GOGO!ヴィッセル神戸 | ラジオ関西 | 2020/07/06/月 18:00-18:30

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