2020年6月に開幕した「F4 Danish Championship(デニッシュ・チャンピオンシップ)」の第3戦は、第1戦でポール・トゥ・ウインを達成したJujuこと野田樹潤さん(14)のオーバーテイク・ショーがファンを魅了した。年齢制限から日本では公式戦に出られないという理由で、欧州参戦を決めたJuju。日本では敵なしだっただけに、バトルの経験はほとんどなかった。元F1レーサーで、父でチームの監督でもある野田英樹さん(51)も「Jujuはどこであんなテクニックを身に着けたのか」と驚きを隠さなかった。
――第1戦で優勝した後、第2戦は上位の順位を入れ替えてバトルの要素を強くするリバース・グリット方式が取り入れられました。第1戦で優勝のJujuは8番手からのスタート。4位までに入って第3戦のポールポジションを確実にしたはずでしたが、タイヤの装着ミスで失格となり、第3戦は出走17台のうち12番手からのスタートでした。結果は3位。猛烈な追い上げでしたね。
【Juju】レースは15分プラス1周で行われますが、後続車のアクシデントで2度もセーフティーカーが入り、実際にグリーンフラッグでレースができたのは8分程度でした。セーフティーカーがなければ勝てたのに、と悔しかったですね。でも日本ではできなかったバトルを展開して、たくさんのマシンを抜くことができたのは、とても楽しく、自信につながりました。
――オーバーテイクについてお聞きします。日本ではトップを独走することが多かったなかで、オーバーテイクのテクニックをどうやって身に着けたのですか。
【Juju】普段の走行で、「抜くときはこんな感じかな」っていうイメージを持って走っていました。あとは父からのアドバイスもあり、それを実践で実行することができました。
――メインストレートのトップスピードから高速コーナーに向かって、アウト・イン・アウトのラインを走ろうとしている車の後ろにピタリとついて、コーナー直前で鋭く左に切り込み、ブレーキング勝負でコーナーのインを奪うオーバーテイクは見ごたえがありました。
【Juju】イメージ通りだったと思います。オーバーテイクでは相手に隙を見せない、気持ちで負けない、躊躇しない。このことは、勝負をするときに大切なことだと思います。
――お父さんが、以前、レーサーの資質として「負けん気の強さ」をあげ、「Jujuの負けん気は父親譲り」と言っておられたのを思い出しました。次回のレースは、9月11日、12日。舞台はパドボーグ・パーク。これまでに一番、練習したコースで記録も塗り替えています。