ストック情報は、人が行動を起こすときにあらかじめ提供された情報やこれまでに蓄積された情報のことを指し、これがスタートラインになる。フロー情報は、災害発生後に出される情報で、危険情報(例・地震が起きました)や対応情報(避難してください)を受け取っても、ストック情報、つまり、事前の情報がなければ適切な避難行動はとれない。
日本では、メッセージを深く読み取って、言葉になっていない省略された情報もくみ取ってコミュニケーションを図る文化がある。つまり、日本人向けに提供されるメッセージをそのまま翻訳しても、外国人が正しい行動をとれるとは限らない。例えば「マスクをつけてください」といわれても、マスク文化がない国では、なぜマスクをつけるのかわからない。
また、「大丈夫ですか」と声掛けをすることがあるが、そのように聞かれると「大丈夫です」と答えてしまうことが多い。でも実際には「大丈夫ではない」ことが多いという。声をかける際には「わからないことはありますか」など、具体的な表現の方が、外国人は安心し、伝えることができる。
一方で、外国人本人にも、言葉がわからないのであれば、翻訳機能を持つアプリを使うなど、積極的にコミュニケーションを図り、「わからないことをわからないままにしない」ようにするよう呼び掛けている。
リポートでは、外国人住民が感じている不安事項やその回答例のほか、防災・減災対策をまとめており、事前にしっかり考えて準備し、もしもの時に落ち着いて行動するよう呼び掛けている。このリポートは 英語・中国語でも公開されている。
これらは、日本人にも言える場面があるのではないか。となりにどんな人が住んでいるのか知らないなど近所づきあいが少ない人や、旅行など海外で過ごす時。たとえ数日の旅行でも、どういう可能性があるのかをしっかり確認した上で、もしもの時に備える。もちろん「もしも」が起こらないことが一番だが……。
※ラジオ関西『PUSH!』2020年9月1日放送回より
阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」
http://www.dri.ne.jp/