このコロナ禍での自粛期間中、東京サンシャインボーイズの当時のキャストを中心に『12人の優しい日本人』がオンラインで行われた。それを見ていた当時の思い入れを持ったメンバーたちから声が上がる。今でも演劇界では語り草になる『12人のおかしな大阪人』が、2020年5月、25年の時を経て、リモート読み合わせで行われた。
初演当時、わかぎさんは36歳で、12歳の男の子役。そして今回のオンラインでも同じ役。「オンラインだからこそです!」と、わかぎさんは笑っていたが、非常に良い配役だと感じられる。リモートでの『12人のおかしな大阪人』読み合わせは、見応えあるものとなり、現在もYouTubeで公開されている。
音楽界では、配信ライブも定着し、これが1つのビジネススタイルとして注目されている。演劇の配信については、わかぎさんはどう考えているのか。
「演劇の配信で儲かった儲からないはともかく、演劇って、たいそうなものじゃないですか。わざわざ劇場に行かなければ、見られへんものですし。劇場に来てもらう活動というのが、(今は)結構ない状態ですが、そのなかで配信するということで、全国の人が見てくれたり、たとえば九州の友だちが『これやったら見られるから、見たよー!』って連絡くれたりもしました。演劇にとって、ある意味はじめの第一歩は、劇場に来てもらうことだったのですが、『その手前に、1コ、いい階段が合ったんだな……』と、私はそういう気持ちになりました」
そして、世界の演劇界をみても、演劇の配信は、自然なものになってきているという。
「現在のように、演劇がウェブの世界に、これほどまでに乗った(配信された)のは、初めてのこと。イギリスの(演劇界)ナショナルシアターでもライブ配信などがあるそうで、それは芝居を、ライブで見に来てもらうためというもの。(内容は)映画のようにカット割りされたものが上演されています。賢い人は最初から分かっていたんですよね……」
配信で、劇場に来てくれる人が増える可能性を感じていると、わかぎさんは期待をかける。
※ラジオ関西『シンコペ!~enter the エンタ~』2020年9月6日放送回より
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わかぎゑふ プロフィール
1959年2月13日生まれ、大阪府出身
関西小劇場の劇団「リリパットアーミーⅡ」二代目座長。大阪弁の人情喜劇、明治以降の近代日本の庶民劇に定評がある。
2000年度大阪市きらめき賞受賞。2001年度大阪舞台芸術奨励賞受賞(『お祝い』の作、演出にて)。2011年度バッカーズ・ファンデーション演劇激励賞受賞(三軒茶屋婦人会「紅姉妹」脚本に対して)。
古典への造詣の深さも有名で、歌舞伎「たのきゅう」「色気噺お伊勢帰り」新作狂言「わちゃわちゃ」「おうみのおかげ」などの作・衣裳・出演なども担当。
また、大劇場から小劇場まで縦横無尽に演出できる数少ない女性演出家のひとり。コロナ自粛期から明けた2020年6月1日に歌舞伎の中村鴈治郎と「亥々会(いいかい)」を早々に立ち上げ、新作狂言「棒しばり×棒しばり」(出演=中村鴈治郎、茂山逸平)の作・演出を担当。
2014年度から京都藝術大学の非常勤講師。日本劇作家協会、日本演出者協会(現理事、関西ブロック長)日本ペンクラブに所属。
ラジオ、テレビへの出演、ドラマの脚本、エッセイ本も多数。自身のイラストの入った集英社文庫から出ている大阪シリーズが広い世代に人気。NHKで放映中の『リトル・チャロ』シリーズの原作者で、現在は英語番組『ボキャブライダー』を担当。
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