それによると、「藤助という人の祖母・元が長寿であることの褒美として 青銅1貫500文(およそ7500円)をもらったこと」「村人や村役人たちも喜び、村のために各戸が負担する労役を免除したこと」「これは大変ありがたいと祖母も大喜びし、これからも養生に励む」といったことが書かれている。元さんの年齢は書かれていないが、当時この地域では長寿の人も多かったようだ。
猪名川町は、現在も平均寿命が、全国の平均を上回る。猪名川町福祉課によると高齢者を支えるいくつかの施策があるという。そのうちの1つが「集いの場を設ける」こと。高齢でひとり暮らしとなると、引きこもってしまうこともある。それを防ぐため3つの集いの場を設けた。(1)健康長寿体操教室、(2)ふれあい生き生きサロン=ここではお茶やコーヒーを飲みながらおしゃべりや趣味を楽しむ、(3)脳トレサロン=プリントの課題に取り組む。現在は新型コロナウイルスの影響が出ているものの、町内複数の場所で週1回程度開催されており、これが高齢者の支えになっているのではないかという。
敬老の日発祥の町、多可町ではこんな動きも。大学生がゼミ単位で企画を考え商品化を目指す「Sカレ(Student Innovation College)」に自治体として初めて参加。例えば『バレンタインならチョコ』というように、『敬老の日にはこれ!』というものができないか、と大学生たちに考えてもらっている。現在17大学18ゼミが奮闘中。この秋に一次審査が行われ、冬に最優秀賞が決まる。その後、商品化を目指す。
多可町商工観光課の担当者は、多可町の地場産品にこだわらず、若い人の自由な発想で考えてもらい、それを「敬老の日発祥の町・多可町」から全国に発信できればいいと話す。来年の敬老の日には実現しているかもしれない。
兵庫県の人口は2019年(令和元年)10月1日現在、およそ546万6000人で全国7位。このうち65歳以上の人が占める割合は29.1パーセント。全国平均は28.4パーセントなので、これを上回っているが、それでも全国で35位。2015年の国勢調査によると、兵庫県内で高齢者の割合が最も高かったのは佐用町の38.2パーセント、新温泉町36.9パーセント、香美町36.7パーセント、そして養父市と淡路市が36.2パーセントと続く。最も低かったのは、三田市の21.3パーセント。
30年後の2045年には県内で65歳以上の高齢者が占める割会は38.9パーセントと推計され、自らが元気で過ごすための準備が求められるとともに、そんな人たちが活躍する場がさらに求められそうだ。
※ラジオ関西『PUSH!』2020年9月15日放送回より