新所蔵品のお披露目も!兵庫県立美術館『2020コレクション展Ⅱ』

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 兵庫県立美術館の『2020年コレクション展Ⅱ』が10月10日にスタートした。作品を鑑賞する際の目の動きに焦点を当てた特集展示「視覚遊戯-美術と目の愉しいカンケイ」のほか、小企画として、太平洋戦争中に相生市にある播磨造船所とその近辺での作業の様子を描いた吉田博の創作活動に焦点を当てる。12月27日(日)まで。

県美コレクション展

 特集展示は「視覚遊戯-美術と目の愉しいカンケイ」と題し、新たに収蔵された作品を含め、およそ200点を集めた。作品を見るとき、人は目に映るものだけでなく、重量や時の流れなど多くの情報を感じ取っている。その情報は人によって、また見る角度などによって変わる。作品を見てどう判断するか、見ることの限りない可能性について考える展示となっている。

白髪一雄《天間星入雲龍》1962年
白髪一雄《天間星入雲龍》1962年

 具体美術協会のメンバーで尼崎生まれの抽象画家・白髪一雄は、床に敷いたキャンパスのうえに絵の具のかたまりを乗せ、それを足でかきまぜて制作する。スムーズに伸びたり、固まっていたり、飛び散っていたりと、様々な表情を見せる絵の具から、彼がどのように動いて作品を描いたのかを感じ取ることができる。

 同じく具体美術協会のメンバーの嶋本昭三は、ビンに絵の具を詰め、それをキャンバスに投げつけて描くことで知られる。作品からはビンがぶつかった衝撃とともに、どのようなスピードでぶつかったのかを想像するのも面白い。

 光に注目した作品も多く集められた。光を透過するシートに絵を描いて影絵を作り印画紙に写すというフォトグラムという手法を使った三宅砂織の作品は、モノクロながらも光がそこにある。

三宅石織《3×3 窓と光》2011年
三宅石織《3×3 窓と光》2011年

 このほか、八田豊やヴィクトル・ヴァザレリ、森村泰昌などの作品が展示されており、思わず触ってみたくなるようなものや(触ることはできないが)、近くによって見たくなるもの、離れて見たくなるものなど無限の楽しみ方が広がっている。

 一方、「吉田博 播磨造船所 絵画群」は、太平洋戦争中、相生市にあった播磨造船所とその近辺での作業風景を描いた油絵やスケッチなどが集められた。明治・大正・昭和にわたって活躍した洋画家・版画家の吉田博は、造船所で働く勤労学徒の姿を描いた。その姿から、当時どのように船が建造されていたのかもうかがえる。吉田はこれらの絵を造船所や学校に寄贈しており、このほど相生造船所の後身であるJMUアムテックとIHI相生事業所に保管されていることがわかった。この時代の絵は現存するものが少なく、しかもこれだけの数が揃うのは貴重だという。

吉田博 《播磨造船所 松の浦工場東船台》1944年頃 IHI相生事業所(兵庫県立美術館寄託)
吉田博 《播磨造船所 松の浦工場東船台》1944年頃 IHI相生事業所(兵庫県立美術館寄託)
吉田
県美外観

兵庫県立美術館「2020年コレクション展Ⅱ」
会期 2020年10月10日(土)~12月27日(日)
休館日 月曜日(※11月23日[月・祝]は開館、24日[火]休館)
会場 兵庫県立美術館 常設展示室(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)

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