自動販売機の横にある、あのボックス……実はごみ箱ではない。正しくは「リサイクルボックス」だ。全国清涼飲料連合会のガイドラインによると、原則、自販機ごとに空容器のリサイクルボックスが設置されることになっている。飲み終わった容器の散乱を防ぐ目的で設置が始まったものの、缶が主流だった1996年頃までは自販機で買ったものはその場で飲まれていたため、大きな問題はなかった。
しかし近年、テロ防止の観点などから街中からごみ箱が撤去されるようになり、特に最近ではコンビニエンスストアが店先においていたごみ箱を店内に移動させたことで、街からごみ箱が消えた。唯一、自販機の横にあるリサイクルボックスがそれと混同されてしまったのだ。2018年12月に東京都で行われた調査では、中に入っているもののうち31%が異物という結果に。2020年9月の消費者調査では42%がリサイクルボックスだと知らない結果になり、ごみが出た場合は自販機のリサイクルボックスに入れる人が25%いたという。
リサイクルボックスは缶・びん・ペットボトルが混ざった状態で、基本的に自販機に商品を詰める業者が回収している。その後、回収処理施設に渡り、缶・びん・ペットボトルに分別、再商品化される流れ。ただ、空の容器以外の異物(たばこの吸いがらやレジ袋、弁当の空容器、タピオカミルクティーのカップなど)が入っているものは焼却するしかない。厳密に言うと、飲み残しも異物となる。
家庭からの出る缶・びん・ペットボトルは資源として分別することが法律で定められていることからも明らかなように、決してごみではない。これらは貴重な資源であり、それをリサイクル、資源循環させるために空の容器が回収されている。ペットボトルのリサイクル率は2019年に85.2%、有効利用率(熱回収を含む)は98%であり、世界的な課題である海洋プラスチック問題などを解決するための努力が続いている。
缶・びん・ペットボトルは「混ぜればごみ、分ければ資源」だということを、日常生活で強く意識したい。
※ラジオ関西『PUSH!』2020年10月15日放送回より