ハマる！『本気のしるし＜劇場版＞』の破滅型恋愛

2020/10/23

　仕事のできるサラリーマンがふと出会った女の妙な生き方に巻き込まれて人生を狂わせる……。映画『本気のしるし＜劇場版＞』の評判がいい。4時間近い作品だが長さを感じさせない。元町映画館（神戸）、京都出町座、第七藝術劇場（大阪・十三）、シネ・ヌーヴォ（大阪・九条）で公開中だ。

　ストーリーは、破滅型の恋愛サスペンス。会社員・辻は、ある夜、踏切で立ち往生していた浮世の命を救う。ところが辻は彼女と関わったその日から次々とトラブルに見舞われる。魅力的だが彼女独特の隙と弱さのために周りを揉めごとに巻き込んでいく浮世と、それに気づきながら、なぜか彼女を放っておけない辻。仕事や人間関係を失いながら、破滅の道を進む……。

　原作はコミック。2000年に発表されビッグコミックスペリオール（小学館）で連載された。これを名古屋テレビが連続ドラマとして制作し、昨年（2019年）オンエアした。劇場版は、この連続ドラマを編集し直して映画化したものだ。深田晃司監督は若いころに原作を読み、20年近くも実写化を熱望していたという。

　主人公・仕事ができるサラリーマン、辻を森崎ウィンが演じる。辻を翻弄するヒロインは土村芳。ほか、宇野祥平・石橋けい・福永朱梨・忍成修吾・北村有起哉ら個性派俳優が脇を固める。主人公を翻弄する女は、すぐにばれる嘘をついて周りに迷惑をかける。いつもその場しのぎの対応を繰り返す。主人公はやがて裏社会にもつながるようになり、“地獄”へ落ちてゆく。