2020年のフォミュラ・カー「F4 デニッシュ チャンピオンシップ」に14歳で初参戦した女子中学生レーサー、Juju(ジュジュ)こと野田樹潤さん。開幕戦で鮮烈なデビュー・ウインを果たしたが、その後、地元勢の強引なマークに苦しんだ。「最後はぶっちぎって勝つ」と、気持ちを振るい立たせていた今季最終戦は、またしても中止に。Jujuのデンマークでの挑戦は、最速に自信をつかみながらも不完全燃焼のまま幕を閉じた。スウェーデンで開催される代替レースには出場せず、11月下旬には帰国する。
開幕戦でのデビュー・ウイン以来、地元勢のマークは、回を重ねるごとに厳しさを増した。Jujuはそんな状況でも、全大会の公式予選でポールポジションを獲得。最速を強烈に印象付けた。そんなJujuを逃がしたらそのまま逃げ切られると、その後のレースではコーナーでのバトルが激しさを増した。
接触、追突の連続。納得がいかないバトルに、「あんなぶつかりかたして、これでいいの?」とイライラを募らせた。接触の末、リタイアに追い込まれた時には、ついに「相手のドライバーと日本語とデンマーク語でけんかした」と感情を爆発させた。それでも、「やられたら、あくまで結果でやり返す。ぶっちぎって勝つだけ」と、気持ちを切り替え、集中力を高めていた。
10月10日からの第10~12戦の舞台は、Jujuがマシンをゼロから仕上げてきたホームコースのパドボークパーク。練習走行では1周のタイムが最速の59秒1をマーク、2番手に約1秒の差をつけるダントツのトップタイムだった。公式予選で58秒を狙ってていたが、突然の中止。「ショック過ぎる」と言葉を失いながらも10月23日からの今季最終戦へ意識を集中させてきた。
ところが、最終戦までもが中止に。「負けん気の強さは自分譲り」というだけに、父で監督の野田英樹さんも「最後のレースでケジメをつけたかったと思う」と、Jujuの気持ちを思いやる。
中止理由はいずれもコロナウイルスの感染拡大。代替レースがスウェーデンで予定されているが、11月2日からFIA国際自動車連盟が主催する若手女性ドライバーの育成プログラムの選考テストが行われることになっており、こちらを優先し、代替レースの出場を断念した。
野田監督は「最終戦に向け、完全必勝体制を整えて準備していただけに、こんな終わり方は残念でなりません。あくまでJujuの最終目標を考えて、最善の判断をしました。応援していただいたファンの皆さんにはご理解いただけると幸いです」と話している。