「withコロナの中で想うこと」平田オリザのまちごよみ(第2回) | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「withコロナの中で想うこと」平田オリザのまちごよみ(第2回)

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 国内外で幅広く活躍し続ける、劇作家・演出家の平田オリザさん。2019年から兵庫県豊岡市へ移住し、生活を送られています。その平田さんが但馬・豊岡の地で日々過ごしながら、感じたことを赤裸々に語るコラム、「平田オリザのまちごよみ」。第2回のテーマは、「withコロナの中で想うこと」です。

平田オリザのまちごよみ

 城崎温泉には、8月の段階ですでに、1日で3000人近いお客様が訪れたといいます。皆さん夏休みに海外などに行けなくなってしまったので、近場の「プチ贅沢」感が味わえる城崎を選んでいただいたのだと思います。出石のおそば屋さんなども、京都ナンバー、大阪ナンバーの車でにぎわっていました。

 これだけのお客様に来ていただいているということは、確率的には、無症状の感染者の方がいてもおかしくないのだと思います。それでも豊岡市からの感染者が出ていないのは、観光業、飲食業の皆さんの涙ぐましい努力があったからでしょう。

 城崎温泉は、今年開湯1300年を迎え、本来なら様々な行事が予定されていたのですが、それもほとんど中止になってしまいました。

 この温泉はもともと、疫病退散を祈願して道智上人が開いたとされるものです。科学的な医療、治療法がなかった時代、温泉が病を癒やす特効薬だったことは容易に想像できます。

 ただ、但馬に暮らすようになり、さらにこのウイルス禍のなかで極めて感染者が少ない状況を見るにつけ、どうも他の要因もあったのではないかと思い至りました。

 京都から城崎温泉までは150キロ、健脚でも4日はかかる行程です。そしてこれは、インフルエンザなどの感染症の潜伏期間に当たるのではないか。

 厳しい言い方をすれば、重度の症状の方は城崎まで来ることができないし、潜伏期を超えているので隔離などもしやすい。城崎が古来、湯治場として栄えたのには、そういった側面もあったのではないかと思うのです。都から適度に離れた、この「遠さ」が城崎に繁栄をもたらしました。

 コロナ後の世界では、また、この適度な「遠さ」が、強みになっていくのではないかと思います。

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