兵庫県佐用町の中国自動車道で2019年6月、タンクローリーや大型トラックの運転手に暴行してけがをさせ、車を乗っ取ったとして、強盗致傷などの罪に問われた岡山県津山市の無職の男(38)の裁判員裁判で、神戸地裁姫路支部は10月30日、懲役8年(求刑懲役12年)の実刑判決を言い渡した。
男は2019年6月20日未明、中国道上り線でタンクローリーの前を、自身が運転する乗用車でふさいで停めさせ、ゴルフクラブでドアや窓を殴り、運転していた大阪市の男性会社員(52)を降ろしてタンクローリー(1000万円相当)を強奪。直後にトラックの前をふさいで停車させ、広島県の男性会社員(47)を殴って助手席に乗せ、大阪府摂津市まで約1時間半監禁した。乗用車からは覚せい剤が見つかった。
神戸地裁姫路支部は判決で「高速道路で大型車両から運転手を路上に降ろして暴行した。非常に危険で、被害者の精神的、肉体的苦痛は大きい」と非難した。弁護側は、被告は覚せい剤を使用したことによる心神耗弱状態だったと主張していたが、判決は「幻覚などの影響はあったが、冷静な判断能力があり、合理的に行動できた」と認定した。