この訓練ひとつとっても大変で、それまで目が見えて耳が聞こえていた人が盲ろうになってしまった場合、当事者は真っ暗闇に放り出された感覚になり、恐怖が上回ってしまうため、その恐怖を和らげることからスタートする。何度も通ってもらってスタッフの手の感覚などを覚えてもらうことで、不安をやわらげ、そこから本格的な訓練に続いていくそうだ。
この支援センターには「カフェ・タッチ」というカフェもある。名前は盲ろう者の皆さんが自分たちで考えたという。濱田さんは「盲ろう者の皆さんが名前を考えたのは素晴らしい。おさわりカフェにしなくて良かった」とスタジオの笑いを誘った。
井上さんは「触手話がなかったら、自分は何もできず暗いままだった。触手話は大事なコミュニケーションだ。自分は元々耳が聞こえず、10歳ぐらいで視力が落ちてきた。とても苦しくつらい思いをし、引きこもりになった。でも、訓練があることを知り、盲ろうを受け入れて訓練を受けたことで、3年ぐらいかかったがスムーズにコミュニケーションが取れるようになった。やっとの思いで社会復帰ができて、自立の道を歩むことができた。ただ、これで終わりではなく、今、引きこもっている盲ろう者の人たちを支援センターに招き入れて、社会に出ていってほしい。それが自分の夢。そのために、自分は今、燃えている」と熱い想いを語った。
現在、社会には新型コロナウイルスの影響が出ているが、平井事務局長いわく「盲ろう者の中にはコロナを知らずに生活している人も多く、マスクをつけることも難しい人もいる。そうした啓発もセンターでは行っているが、時間がかかることを理解してほしい」と呼びかける。
番組後半は障がいを持っている方が作った授産品を紹介するコーナー。この日にピックアップしたのは、丹波篠山市「地域活動支援センター NPO法人陽だまり」で作られた、『西古佐くろまめ お菓子な家族』だ!
西古佐の自家農園で利用者と職員が無農薬で大切に育てた黒豆を中心に使用した、黒豆茶とお菓子のセット。名前が個性的で、黒豆茶は「ばあちゃ」、お菓子には「きな子」「みそ子」「ぽん太」という名前が付いている。リピーターも多いという個性的なお菓子をぜひお試しあれ。
※「濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信」、次回は12月21日(月)『PUSH!』内でオンエアされる。
『濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信』2020年11月16日放送回