物流の面で太平洋から日本海に荷物を運ぶときに背中に背負って運んで行くのに、一番太平洋面と日本海面とでつながりやすいわけです。海抜95メートルというと神戸のポートタワーより低いんです。ポートタワーの上まで昇らない高さで太平洋側と日本海側を結べるわけですから、昔から交通の大事な場所になっていました。
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◆長浜城、佐和山城もしかり
国単位でみていくと、近江国・滋賀県は太平洋側から船で来ると大阪湾、淀川を遡って、琵琶湖へ。琵琶湖の北まで行き、賤ケ岳の峠さえ超えれば、若狭湾へ出るわけです。
国単位の物流でいうと、近江国というのは非常に大事な場所だったため、織田信長は一番信用のできる家来の羽柴秀吉を近江の長浜城主にするわけです。秀吉は一番信頼した石田三成を佐和山城主に。家康はというと一番信用のおける井伊直政を彦根のお殿さんにしたのです。そういった場所と並ぶような本州で最も低い日本海と太平洋を結ぶ分水嶺(分水界)。文化的にも大切な地形の場所と言えるでしょう。
そんな場所に現在、兵庫県立水分かれ公園ができていて、水分れ資料館もあります。国道165号線から車なら10分の場所です。紅葉の頃も桜の頃もきれいで常緑樹がたくさんあり、一年中、自然と接することができます。
ぜひ、一度訪ねてみてください。
(構成:久保直子)
『ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波』2020年11⽉26⽇放送回音声