神戸市北区の「放課後等デイサービス」施設で、知的障害がある女子中学生(14)を平手でたたくなどしたとして暴行罪に問われた施設長の男(45)の論告求刑公判が9日、神戸地裁で開かれ、検察側は懲役1年を求刑した。判決は12月23日。
検察側は論告で「発語能力の低い被害者をからかうなど、不適切な処遇を続け、意に沿わせようと暴力を繰り返していた。施設の責任者にあるまじき対応だ」と非難。一方弁護側は「多くの親に感謝されている。深く反省している」と述べ、執行猶予を求めた。
そして女子生徒の両親による意見陳述を検察官が代読。「(施設長の男による暴力で)娘は心に傷を負った。娘この施設に預けたことを後悔している」と憤った。そして「(娘が)尊厳を守られながら生きることができなかった」と述べた。
この施設は事件後に廃業したが、神戸市は関連施設を児童福祉法などに基づき監査し、行政処分などを検討している。
起訴状によると、施設長の男は2020年6月25日と8月19日、施設内で重度の障害がある利用者で中学校に通う女子中学生を数回、平手でたたくなどの暴行を加えたとされる。事件をめぐってはこの施設の元・指導員(51)も5月、施設内で女子生徒の足を蹴るなどの暴行をしたとして暴行罪で起訴され、11月12日の初公判で起訴内容を否認している。