兵庫県内で特殊詐欺の被害が急増している。 兵庫県警は今夏、「特殊詐欺警戒アラート」を発令したばかり。12月に入り、約200人体制の「特殊詐欺総合対策本部」 を設置した。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため外出自粛で、特殊詐欺の被害確率が高い高齢者の在宅率が上がったが、 被害そのものは全国的に減少傾向。しかし兵庫県内の特殊詐欺による被害が、発生件数・被害額ともに前年の同期間と比べて2倍近いペース(いずれも約1.7倍)に増えている。
警察庁によると、全国での特殊詐欺の被害は、2020年1月~10月で約220億円。前年同期間より約40億円減少しているが、この状況とは逆に兵庫県内では被害が急増した。
兵庫県警によると、2020年1月~10月の被害件数は876件と、前年同期間に比べて356件も上回る。 また被害額は約14億4600万円と6億2700万円も増加。深刻な状況に兵庫県警は警戒を強めている(兵庫県内での2019年の年間被害件数は657件・被害総額は約10億9000万円)。
9日に行われた発足式では、吉岡健一郎本部長が「兵庫県が特殊詐欺のターゲットとされ、犯行を許している状況は極めて憂慮すべき。対策の正念場を迎えている。事件の背後にある暴力団などを視野に入れ、突き上げ捜査やアジト(犯行グループの拠点)の摘発により、実態解明を推進してほしい」と訓示。対策本部は今後、詐欺グループの検挙に向けた捜査や被害の未然防止のため、啓発活動を強化する。
小野義昭・兵庫県警生活安全部長(対策本部副本部長)は「さまざまなデータを解析すると、兵庫は間違いなくターゲットになっていることが判明した。多くの人員を動員して見回りや啓発活動を行い、捜査や防犯活動で得た情報を刑事部・生活安全部の垣根を超えて共有し、より効率的に特殊詐欺の撲滅に取り組む」と意気込んだ。