その点、(ソフトバンク)ホークスは1番から6番、7番(打者)まで神経を遣わなければいけない。マークされるバッターが並んでいるとピッチャーは疲れるもの。オリックスはT-岡田(岡田貴弘)選手や安達(了一)選手あたりがしっかり引っ張って行って、若手が台頭してほしい。幸い(オリックスは)ピッチャーがいいので失点は少ない。逆に先取点を取って『2点3点取られてもいいんだよ』と楽に投げさせてあげたい。そんなゲーム展開で戦えば(来季は)面白くなる」
さらに、阪神・淡路大震災直後の1995年にパ・リーグ優勝、1996年にパ・リーグ2連覇、同年日本一となった当時のオリックスの雰囲気や、「仰木マジック」の名で一世を風靡した仰木彬監督のことなどにも話はおよぶ。
「(仰木監督は)形にこだわらないというところが素晴らしい。(前に近鉄でトルネード投法の野茂投手を育てたように)イチロー独特の『振り子打法』などはいい例で『自由に、打てるんだったらどんな形でもいいや』といった寛大さがあった」
「データ重視の起用法。先発メンバーを日々変えていく」という仰木監督の戦術・戦略も紹介。藤井さんは「2ホームラン打ったのに、次の日にスタメンを外されたことがある。しかしながらその采配が『勝ち方』を追求した結果であり、それがどんどんハマって行き、最終的に優勝することができた」と振り返った。
藤井さんは「代打満塁ホームラン4本」という日本記録の保持者。しかも1シーズンで3本も打てたのも、満塁の場面で代打に送り出してくれた仰木監督の采配のおかげだと語った。
番組の最後、田中アナは「代打の極意を教えてください」と尋ねると、藤井さんは「嫌なプレッシャー、追い詰められた緊張感を持たずに、楽しめること。そして、今日(球場に)来ていただいたお客さんに喜んでもらいたい、『あ~いいもの見せてもらったと』と喜んで帰ってもらうことを念頭に打席に立つこと」と、その1球に懸けた想いを明かした。
「打たなければいけない」ではなく、「支えてくれているみなさんのために」。「利他」の精神が大事と、藤井さんの話に全員が納得。番組はタイトル通り、まさに「ええやんカー」と締めくくった。
(文:黒川良彦)