その反面、避けるための新しい生活様式が提唱され、在宅勤務でのリモート会議、オンライン飲み会や遠方の友人・親類などと映像を通してバーチャルに会う機会が生まれた。物理的距離があるなかでも『密』に人との関わりを持つことができる、と感じた人も多かった。日本学術会議の一部会員の任命拒否といった政治判断が内『密』に行われたことや芸能界での『密』会報道なども最多応募の背景にあったとみている。
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日本漢字能力検定協会・専務理事、山崎信夫さんは次のように分析する。
「予想通りでしたが、禍・疫かなあとも思っていました。『密』というのは、皆さんが早く新型コロナが収束して、本当は密接になりたいという気持ちの裏返しなんだと思います。切なる新型コロナ終息への思いといいますかね。政界についても、もっとオープンに物事を進めてほしい、という批判の現れもありますよ」
「上位10位までがコロナ関連ですが、こうしたなか『鬼』『滅』が入ったのは興味深いですね。やはりアニメ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」の影響は大きいです。例えば主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が、鬼にされた妹・禰?豆子(ねずこ)へ刀を向けた鬼殺隊に土下座をして殺さないよう懇願するものの、『生殺与奪の権(他人に対して「生かす」か「殺す」かを選択できる権利)を他人に握らせるな』と諫められるシーンがあり、鬼と戦うよう促されるストーリーがありますが、何か得体の知れないものに対して果敢に挑戦して断ち切ろうとする世界観に興味をそそられるのだと察しますね。
漢字の応募で、毎年出てくるものがあります。『災』がそう。ただ今年は上位20位の中で、『鬼』『滅』以外に今までになかった文字が11もあったんです。『家』(巣ごもりとしての)、『粛』(自粛・つつしむ)といったように。選ぶ漢字の傾向が激変した年ですよ。忘れられない2020年です」
※2位は「禍 *」、3位は「病 *」と、いずれも新型コロナ関連。4位以下は「新」「変」「家 *」「滅 *」「菌」「鬼 *」「疫 *」となった。「鬼滅の刃」のヒットも影響した。11位以下は「粛 *」「染」「耐」「感 *」「命」「離 *」などの順(*印は新出)。