声優・タレント・ラジオパーソナリティーとして活躍する“み~たん”こと、木村三恵さんが、なつかしのレコードに思いをはせてつづるコラム、「み〜たんの名作レコード実況Lock-on」。今回、レコードの針をおとすのは、宝塚歌劇団雪組公演「グランド・レヴュー ジャワの踊り子」宝塚大劇場(1982年5月8日~6月22日)公演中に収録された実況録音LPです。
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“♪あ~あ~あああ~”という影ソロから始まり、「アディンダ・ヤンクチンタ」「カカンダ・ヤン・クチンタ」というインドネシア語のセリフ。意味はわからなくても、心に残る節回しです。ちなみに意味は「私の恋人よ」とのこと。主人公アディナンと、その恋人アルヴィアがお互いを想い呼び合うセリフです。
初演は1952年雪組、アディナン(明石照子)・アルヴィア(新珠三千代)・オースマン(寿美花代)、このトリオも聴いてみたかったけれど、今回の『レコード・アーカイブス』では1982年雪組公演、雪組トップスター麻実れいと遥くらら、二番手スター寿ひずるというゴールデントリオver.でお届けしました。作・演出は菊田一夫、潤色・演出は「ベルサイユのばら」でおなじみ植田紳爾先生。
物語は、第二次世界大戦が終わり東南アジアの各地で独立運動が激しくなり始めたころ。まだオランダの支配下であったインドネシア・ジャワの王宮で踊り子をしているアディナン(麻実)とアルヴィア(遥)は恋人同士。もう間もなく結婚という二人でしたが、実は、アディナンは独立運動のリーダー。アルヴィアの弟オースマン(寿)も、その仲間でした。一方、アルヴィアはその美しさから、オランダ政府の警視総監からジャワにいる間だけの妻にすると命じられていて、ついには二人の恋はインドネシア独立運動の荒波に飲み込まれてしまいます。
劇中でアディナンとアルヴィアが、無人の小島に隠れ住み、二人だけの幸せな日々を過ごしているシーン。個室でお稽古しているのを下級生が目撃し、二人のあまりのイチャイチャぶりに「麻実と遥が本当に交際している!」と思い込んだというエピソードを、後に麻実が告白していました。
4年間とは思えないほどの、数々の名作を生みだした二人。トップとして育っていくのも初々しいけれど、こういった「できあがっているコンビ」にまた出会いたい……。
※ラジオ関西『レコード・アーカイブス』より