防災の専門家らが呼びかけ「3・11を防災に関する記念日に」 震災『語り部』の重要性説く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

防災の専門家らが呼びかけ「3・11を防災に関する記念日に」 震災『語り部』の重要性説く

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 9月1日は『防災の日』、1月17日は『防災とボランティアの日』、そして11月5日は『津波防災の日』。これらは、関東大震災や阪神・淡路大震災など自然災害が起こった日を由来として制定されている。「では、東日本大震災が発生した3月11日は、何の日?」。そう問いかけるのは、防災学習アドバイザー・コラボレーターの諏訪清二さんだ。

防災学習アドバイザー・コラボレーターの諏訪清二さん
防災学習アドバイザー・コラボレーターの諏訪清二さん

 自然災害の多い日本には、防災に関する記念日がいくつも存在する。しかし、東日本大震災のあった3月11日には『〇〇の日』と言える国民的な記念日がない。そこで、諏訪さんも所属する、一般社団法人防災教育普及協会が中心となって、3月11日を『防災教育・災害伝承の日』にしよう、という取り組みが始まった。

「東日本大震災から10年を迎える今、防災教育と災害伝承の重要さを改めて認識してほしい」と話す諏訪さんは、自身が防災活動に関わるなかで、東日本大震災と阪神・淡路大震災でひとつの違いがあると感じたそう。

 それは『語り部』の存在だ。阪神・淡路大震災の場合、語り部は高齢者が多かったのに対し、東日本大震災では大学生など若年層の語り部が多く活躍しているという。最近ではその影響を受け、阪神・淡路大震災で当時小学生~中学生だった被災者がどんどん語り部として活動を始めている。諏訪さんは、このような語り部が、今後も自身の経験を話せる場を作りたいという思いを明かしていた。

 そんな諏訪さんが、語り部たちから聞いたなかで、特に印象的だったと振り返ったのは、東日本大震災で当時中学生だった女性の話。

「地震があった日、彼女はジャージで授業を受けていたんです。地震が起こって避難する時『走りながらジャージのズボンについてるヒモをギュッと結んだ』って言うんですよ。『何で?』って僕が聞いたら、彼女は『津波につかまって瓦礫につぶされて、ボロボロの遺体になっても、ジャージにある名前の刺繍でお母さんが私のことを見つけてくれるから』と、笑いながら答えたんです。そんな覚悟をしながら走っていた、という経験を語れる場が増えてきたんです」(諏訪さん)

 このように、多くの人が震災当時のことを伝えられるような日にするため『防災教育・災害伝承の日』を作りたいと、諏訪さんは思いを述べる。

 防災教育普及協会は『防災教育・災害伝承の日』の賛同者を募るため、ウェブ上で特設ページを公開。現在は248人(法人を含む33都道府県・および米国から)の賛同者が集まっているという。詳細については、ホームページに掲載されている。

諏訪清二(すわ・せいじ)
防災学習アドバイザー・コラボレーター。
全国初の防災専門学科「兵庫県立舞子高校 環境防災科」の科長を12年間勤めるほか、教育委員会、文科省など防災教育関連の委員を多数歴任。主な著書は「高校生、災害と向き合う」(岩波ジュニア新書)、「防災教育の不思議な力」(岩波書店)、「防災教育のテッパン」(明石スクールユニフォームカンパニー)。


■『防災教育・災害伝承の日』特設ページ
■一般社団法人 防災教育普及協会

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