崖っぷち出版社に現れた男。カルチャー雑誌の新編集長に就任するが、笑顔の裏にとんでもない“牙”を秘めていた。相手の裏をかく戦略の仕掛け合い、逆転の連続。最後に笑うのは誰なのか? 映画『騙し絵の牙』が3月26日(金)、神戸国際松竹・MOVIXあまがさき・大阪ステーションシティシネマなどで全国公開です。
舞台は大手出版社「薫風社」。出版不況に加え、創業一族の社長が急逝し、次期社長をめぐって権力争いが勃発。専務が進める大改革で、雑誌は次々と廃刊を余儀なくされています。
こうしたなか、会社のお荷物雑誌「トリニティ」の新編集長となった主人公・速水も同じようにピンチに立たされます。一見頼りなく、親しみやすそうに感じられる速水ですが、実は裏側に“牙”を隠し持っています。
速水は、新人編集者をライバル雑誌から引き抜いて、熱意をあおったり焚きつけたり。人気ファッションモデルやイケメン新人作家をスマートな誘い文句でおだてて、自分の思い通りにさせたり。自由な発想と天性のトーク術で文学界の大御所小説家に取り入ったり。
速水は人たらしの才能を発揮して、出版業界のくせものたちを手玉に取って雑誌の売り上げを伸ばす企画を仕掛けます。ところが……。
ストーリーはここからスリリングな展開を迎えます。嘘、裏切り、リーク。陰謀、策略、頭脳戦。誰が味方で誰が敵か分かりません。雑誌の生き残りをかけたビジネスはどんでん返しの連続で、立場の優劣が次々と逆転。見ていてドキドキする“出版サスペンス”です。
原作は、塩田武士が出版業界の光と闇を描く社会派小説。俳優・大泉洋を主人公として“あてがき”した作品だそうです。あてがき、つまり小説として出版する段階で映像化を見据え、大泉主演のキャスティングを想定して書かれたものです。
塩田は映画化にあたって「出版業界の希望と絶望は、そのまま主人公・速水の光と影に響き合う。これまで私たちは大泉さんの『光』の部分に魅せられてきた。しかし、40代の男は『影』で何を物語るかが重要である」とコメントを寄せました。荒れる出版業界のリアリティに迫る作品として、大泉が表現する速水編集長に大きく期待しています。