「冬がちっちゃくなっている感覚」雪山の世界にみえる環境の変化と、近年目立つ “茶色い雪”とは? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「冬がちっちゃくなっている感覚」雪山の世界にみえる環境の変化と、近年目立つ “茶色い雪”とは?

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 お天気キャスターとして活躍する気象予報士・防災士の正木明さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組『正木明の地球にいいこと』(ラジオ関西)。3月22日の放送では、カメラマン・スノーボーダーで写真家の遠藤励(えんどう・つとむ)さん(長野県大町市在住)に番組がインタビュー。最近の雪山の変化について話を聞いた。

 雪山の世界では、「雪の降り方、気温などは少しずつ変化しているように思います。いわゆる温暖化といわれる兆候は、かなり顕著に出ているように、僕らは感じます」という遠藤さん。「木崎湖という湖のほとりに住んでいるなか、たとえば厳冬期にワカサギ釣りができるような氷が張らなくなってしまいました。また、20年くらい前から最近にかけて、1月や2月に雨が降るようなことも年々増えていますし、土砂降りが続くこともあります。雨だけじゃなく、急に冷えて、急に緩むような気温の乱高下も、ここ5~6年、激しくなっています。強風の日も増えていますね……」。雨風が強くなると雪崩も起きやすくなり、冬季では山が凍り付いてしまうなど、より一層、危険なコンディションに。プロでも雪山登山は難しくなるという。

 この冬は雪が多く、管理されたスキー場でスキーなどウインタースポーツを楽しむには、いいシーズンだったと言えるだろう。しかし、「活動写真を残すなどの活動になると、山岳領域に踏み込むことが多いので、より慎重に、リスクマネジメントを常に考えています。そこで感じることも多い」という遠藤さんは、「冬がちっちゃくなっている感覚」だと話す。「温暖化というべきか、気候変動というべきか、ちょっと悩ましいところではあるんですが……」と前置きしつつ、「温暖化でもたぶん雪は降りますが、その雪の降り方や質、頻度などが変化しているんです」とコメント。遠藤さんが特に気になるというのが、近年目立つ “茶色い雪”だという。

「黄砂が来るのは例年のことですが、今までだと3月中旬、早くても3月に入ってからでした。それが、今年、最初に黄砂を感じたのは1月5日。 “茶色い雪”が降って、雪に茶色い層ができるので、すぐわかるんです。あと“茶色い雪”が降ると、僕ら滑り手にとっては、すごくやっかいで、板が走らない。いわゆる“ストップスノー”と言われていて、引っかかる感じで進まないんですよ。今年は黄砂にすごく悩まされていて、“ストップスノー”が増えています」

 遠藤さんがスキーやスノボーのワックスを研究している詳しい方にその要因について話を聞くと、PM2.5の汚染物質や、火山灰が落ちてきているというのも原因の1つとのこと。偏西風に乗ってやってくる黄砂だけではなく、複合した問題のようだ。

「自然は嘘はつかない。はっきりしている」と遠藤さん。雪山に起こっている環境の変化も、決して見過ごすことはできないものといえよう。番組パーソナリティーの正木さんも、「自然の移り変わり、変化、悪化を、バックカントリーに入る遠藤さんもすごく身近に感じていらっしゃるんだなというのがよくわかった」と感想を述べていた。


※ラジオ関西『正木明の地球にいいこと』2021年3月22日放送回より

◆『正木明の地球にいいこと』ホームページ

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