「神戸三宮阪急ビル」(神戸市中央区)が26日、緊急事態宣言が発令される中、オープンした。セレモニーなどは行われず、商業施設「EKIZO三宮」では37店舗中21店舗が休業を決めるなど、新たな神戸のランドマークの船出は静かなものとなった。
飲食店を中心とした商業施設のほか、オフィス、ホテルが入る複合の高層ビル。地下3階・地上29階建てで、高さは約120メートル。壁面の特徴的なアーチ窓のほか、レンガ調のタイルを使った円筒形の外壁などは、1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受け取り壊された、「旧・神戸阪急ビル」の意匠を受け継ぐ。神戸・三宮は、東西南北から計6路線が乗り入れ、1日当たり約69万人が乗降するターミナルエリア。同市は2015年から、より便利な「えき=まち空間」をつくろうと、三宮の再整備を進めてきたが、新・阪急ビルはその先陣を切る。
商業エリアの「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」には、人気店の新しい業態や、関西・神戸初出店を含め37店舗が並ぶ。「駅(エキ)一体型の施設」と「異国情緒(エキゾチック)」を掛け合わせており、コンセプトは「都会の高架下で、本物と日常を気取らず愉(たの)しむ贅沢」だ。
北側のサンキタ通りは、午後5時以降は石畳の歩行者天国になる。拡幅された歩道部分にはテラス席を設け、南ヨーロッパのような雰囲気を演出する。一方、JRの高架との間に位置する南側は趣を変え、長年親しまれている老舗の看板やのれんと調和させたアジアンテイストな空間に。
オフィスエリアは4~15階。数々の企業が入居するほか、最上階15階には、神戸市がビジネススクエア「ANCHOR KOBE(アンカー神戸)」を開設。神戸新聞社と有限責任監査法人トーマツが運営する。産・学・官の会員制の拠点として、起業を目指す学生やスキルアップを目指すビジネスマンなどが集い、業界の垣根を超えて交流、イノベーションの創出を目指す。今後、利用できる座席の数などを減らして運用を始める。
17~28階の高層部には、ホテル「レムプラス神戸三宮」が西日本初進出。駅直結という強みを生かし、ビジネスユーザーのみならず、観光客の需要を見込んでいる。全209室のうち、約8割をダブルルームが占める。南側は神戸の港町の夜景、北側は六甲山の緑などを楽しめるなど眺望は抜群。一部の客室では、阪急電車が走っている様子「トレインビュー」が楽しめるとあり注目される。