巨匠・東山魁夷が長い年月をかけて制作 奈良・唐招提寺の御影堂障壁画を一堂に展示 「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

巨匠・東山魁夷が長い年月をかけて制作 奈良・唐招提寺の御影堂障壁画を一堂に展示 「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」

LINEで送る

この記事の写真を見る(1枚)

 近代日本画を代表する巨匠・東山魁夷が、生涯で最も長い年月をかけて制作に取り組んだ奈良・唐招提寺の御影堂障壁画を一堂に展示する特別展、「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」が、神戸市立博物館で開催されている。6月6日(日)まで。(※【2021年5月24日追記=会期は6月9日まで延長。5月31日、6月7日の月曜日も臨時開館】)

 唐招提寺の御影堂は、1964(昭和39)年に、開祖である鑑真和上の1200年忌事業として、国宝《鑑真和上坐像》を安置するため興福寺旧一条院宸殿を移築して建立された。東山魁夷は、《鑑真和上坐像》を納める厨子の扉絵や5つの部屋の障壁画の制作を唐招提寺から依頼され、10年以上の歳月を費やして完成させた。唐招提寺の御影堂障壁画が一般に公開されるのは毎年6月の3日間だけだが、現在御影堂は修復事業を行っているためしばらく公開の機会はない。特別展では御影堂の内部を再現し、障壁画全68面を一堂に展示するため臨場感を間近で味わえる。また、東山魁夷が日本や中国各地を歩いて描いたスケッチや下絵なども展示し、完成までの足跡を見ることができる。

 会場に入りまず飛び込んでくるのは、海の景色を描いた《濤声》。「青の画家」とも称される東山魁夷の世界観を感じることができる。冬の日本海の景色に深い感銘を受けた東山魁夷は、波に打たれる岩に鑑真和上の生涯を写したしたのではないかとされる。

 一方、鑑真和上の故国・中国の壮大な風景美を描いた《黄山暁雲》や《桂林月宵》は、モノクロの世界が広がる。水墨画を全くと言っていいほど描いたことはなかったというが、中国の風景は水墨だと感じて敢えて取り組み、鑑真和上の心の風景を描いたのではないかとされる。

 東山魁夷は3歳から17歳までの少年時代を神戸で過ごした。幼少の頃はひとりで絵を描いて遊ぶのが好きで、中学校の上級になるにつれて画家を志すようになった。「画家としての原点」がある神戸で、東山魁夷の世界を見ることができる絶好の機会という。

 唐招提寺の岡本元興第八十九世長老は、「鑑真和上は5度の失敗を乗り越えて6度目にして日本に来ることができた。が、その時には失明しており日本の風景を見ることはできなかった。鑑真和上がどうして日本に来たかったのか、また東山魁夷が制作にかけた歳月の長さ、思いに出会ってほしい」と話す。

◆東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展
会期 2021年4月24日(土)~6月6日(日)
※会期中、スケッチや下図など関連資料の展示替えあり 障壁画は通期展示
会場 神戸市立博物館
休館日 月曜
※緊急事態宣言中の開館情報は公式ホームページで要確認

※2021年5月24日追記⇒会期は6月9日まで延長。5月31日、6月7日の月曜日も臨時開館

神戸市立博物館

【神戸市立博物館 公式HP】

LINEで送る

関連記事